2015年09月11日

2014年 第3回 静岡書店大賞寸評…小説部門

小説部門は柚木麻子さんの『本屋さんのダイアナ』が受賞!本が育んだ友情、そして少女の支えとなった本…。『赤毛のアン』の現代版のような対照的な2人の主人公とその家族が丁寧に描かれ、引き込まれました。成長の、青春の過程に素敵な本があるって幸せですねicon12
 ※2014年9月 投票時の在籍店舗です

●『私に似た人』朝日新聞出版 貫井徳郎
理不尽な時代を生きるわれわれは、やり場のない怒りや憎しみとどう向きあっていけばいいのだろう。作中に答えはない。正解のない問いだけど、答えを追い求め、考えることは
たぶん無駄じゃない。
(明屋書店イケヤ高林店 貝塚知香)

●『本屋さんのダイアナ』新潮社 柚木朝子
私の呪いを解けるのは、私だけ。
正反対の外見、性格だけどとても魅力的な
女の子二人の、自立への物語。
(TSUTAYA佐鳴台店 内藤賢久)

はじめて友達の家に誘われて訪ねて行った日のことを
あなたは覚えていますか? 自分の家とは違う間取り、
家具、初めて口にする手料理。見るもの触るものすべて
まぶしく感じたあの時間が、ページをめくるうちによみがえってきます。
かつて少女だった全ての女性に贈る、青春小説。
(明屋書店イケヤ高林店 貝塚知香)

●『A』河出書房新社  中村文則
これぞ小説!これぞ文学!もっと売れたらいいのに…
(アマノアクト北店 松本)

●『ここからはじまる』新潮社  はらだみずき
学生時代サッカーをやっていたお父さんと、夢はプロサッカー選手という息子。練習でも試合でもチームでなかなか目立てない息子の姿を見て歯がゆい思いの父親は、思わず息子に厳しく当たってしまう。息子のサッカーは誰のためのサッカーなのか?二人のサッカーは「ここからはじまる」。自分が子どもの頃、自分が子どもを授かってから、こんな経験をした人はきっと多いはず。少年の成長物語としてだけでなく、親としての成長物語としても読める、素敵な作品でした。サッカーどころ静岡だからこそお薦めしたい一冊です。
(アマノ有玉店 山本)

●『ミニスカ宇宙海賊 12』朝日新聞社  笹本 祐一
タイトルとはうらはらのハードSF小説もはや第12弾
アニメ版とも少しちがった、作者の深いSF愛とうんちくに満ちた作品です。登場人物の女子高生がかなりのやり手で、かわいらしさや萌を期待するのはマチガイです。
(江崎書店袋井店 豊島 寛之)

●『敗者たちの季節』角川書店  あさの あつこ
甲子園への切符を手に入れたチームだけでなく、おしくも手に入れることのできなかったチームにもスポットライトがあたっている点が良かった。野球にくわしくないが、主に高校球児の心情にスポットライトがあたっているため、読みやすいのも良かった。
(江崎書店袋井店 木村 祐介)

●『代書屋ミクラ』光文社  松崎 有理
研究者の論文を代筆する仕事“代書屋”。まだまだ駆け出しの新人代書屋ミクラが、一癖も二癖もある仕事と恋(?)を乗り越えて成長していく物語。軽妙な文章と個性的な登場人物が魅力的な作品だが、ただ「おもしろかった」で終わらず、かといって何か深く考えさせられるわけでもない。でもなんだかふわっと心に残る読後感が心地よい。
(江崎書店袋井店 大場 昭典)

●『徘徊タクシー』新潮社  坂口 恭平
「きっと僕たちが認識している世界とは全く別の地図を持っていて、そこでは正常に動いているはずなんだ」
「認知症は病気ではなく、新しい世界の入り口なのかもしれない」
認知症になるのを恐れていた人も、介護している人も「新しい知覚」ととらえれば、気持も軽くなると思わせてくれる本です。
(江崎書店イトーヨーカドー店 スタッフ)

●『天切り松闇がたり ライムライト』集英社  浅田 次郎
中学生の頃から慣れ親しんでいる大切な作品、待ってましたの最新シリーズ。今回も、目細の安吉親分の懐に抱かれるように安心して“心意気”と“まこと”と“きれいごと”の世界に浸ることが出来ました・・・幸福の極み。毎度、脳内でドラマ化しながら読んでいるんですが、再度ドラマ化の暁には成長した松っちゃんを野村修平君に演じてもらいたいです・・・(うっとり)
ちなみに10代の頃、読んでた時は勝地涼くんを当てて楽しんでました。
(江崎書店イトーヨーカドー店 稲葉 舞)

●『悟浄出立』新潮社  万城目 学
いつだって脇役はゴメンだ。いつも後ろにくっついている悟浄の物語。
中国の古典をかじったことのある方はもっと楽しめる。
(江崎書店イトーヨーカドー店 久保田)

悟浄が主役というと中島敦の「悟浄出世」がありますが、この作品は中島敦に対する熱い思いのこもったオマージュでもあります。中国古典を元にした短編小説集なのですが、それぞれの完成度が高いため、元ネタを知らなくとも充分に楽しめます。知っていたらより深く味わうことが出来るので、「西遊記」と「三国志」と「楚漢戦争」とかに手を出すのもよろしいかと。もちろん中島敦もお忘れなく。
(谷島屋ららぽーと磐田店 河合 満)

●『鴨川食堂 おかわり』小学館 柏井 壽
鴨川食堂の主人“流”は初めてのお客様に食べてもらう料理のウマそうな描写、そしてお客様の思い出料理を再現する技術、スバラシイの一言。そして娘“こいし”との京都弁でのやりとりが痛快。“流”“こいし”そしてドラ猫“ひるね”のまつ鴨川食堂へ思い出の料理を求めて訪ねてみよう!!
(江崎書店パルシェ店 渡部 松徳)

●『検事の死命』宝島社  柚月 裕子
自分の信念を持ち、事件の本質に真摯に向き合う佐方検事。いかなる権力にも屈しない強靭(頑固?)な精神には驚かされる。
シワシワよれよれのシャツにぼさぼさヘアの外見なのに「かっこいい!」って思ってしまいます。
(夢屋書店アピタ初生店 伊東 佳子)

●『海うそ』岩波書店  梨木 香歩
どの時間のどの場所かも定かでないもの
―“海うそ”。
時代の流れの中で手に入れるもの、そして失ってしまうものにつて考えさせられます。
(磐田市立中央図書館 山本 あゆみ)

美しい日本語によって語られる島の自然描写が素晴らしい。物語も感動的。
(浜松市立中央図書館 スタッフ)

●『ケモノの城』双葉社  誉田 哲也
描写が非常にリアル。
(夢屋書店焼津店 板倉 啓一)

●『なぎさ』角川書店 山本 文緒
とても静かでおだやかな空気の中に力強さを感じる不思議な小説でした。何もわかりやすくは解決していないのかもしれないけど、すべてがクリアにならなくとも、向き合い、僅か1ミリでも足を動かせたらまた明日も笑えるかも、そう思わせてくれる物語です。
(ジャック鷲津駅前ブック館 山本 幹子)

●『山女日記』幻冬舎 湊 かなえ
誰もが持つそれぞれの悩みには、それぞれの向かい合い方でそれぞれの答えがあるものだと心が強くなる思いになれました。
(焼津谷島屋登呂田店 スタッフ)

●『居酒屋ぼったくり』アルファポリス 秋川 滝美
タイトルに偽りあり。(良い意味で)
読後がほっこりして、心がいやされるお話でした。
(本のサガミヤデュオ店 山下 聡子)

●『私に似た人』朝日新聞社 貫井 徳郎
やはり展開は思った通りだった。
途中までは。
10名のテロに関わる主人公のそれぞれの物語が、やがてひとつになるとふんでいたが、それとは違う形になっていく。誰にもテロリストになる可能性は充分にあると教えられました。
(本の王国浜松西店 中嶋 明子)

●『なぎなた男子!』アスキーメディアワークス 天沢 夏月
青春もの。トキメキます。
(焼津谷島屋田尻店 杉山 真祐美)

●『マダム・キュリーと朝食を』集英社 小林 エリカ
震災のあった年に生まれた少女と、放射能を光として見る猫。猫は光を食べることをやめられない。放射能汚染を批判するより、魅力的に描かれている方が怖い。猫同士の恋もロマンチック!猫と少女の「生」がつながっていくラストがすばらしい。
(ザ・リブレット丸井静岡店 佐野 詠子)

●『ねじまき片想い~おもちゃプランナー・宝子の冒険』東京創元社 柚木 麻子
女の子なら一度はしたことのある片想いに共感でき、それと同時に待っているだけでは何も始まらない!と背中を押してくれる作品です。読むと自分も一歩前に踏み出したくなります。
(谷島屋浜松本店 鈴木 未奈美)

●『荒神』朝日新聞出版 宮部 みゆき
ファンタジーでありながら、いつの間にか身近なものとしてとらえることができる作品。
(谷島屋イオンモール店 スタッフ)

●『居酒屋ぼったくり』アルファポリス 秋川 滝美
旨い酒と美味しい料理の香りがする本
義理人情の味わいが良い
(谷島屋外商 芝吹)

●『おやすみなさいは事件のはじまり』幻冬舎 三岡 雅晃
地元の作家さんということで、物語の中にもあれ?(ニヤッ)と思うところもあり入り込みながら読めます。
(谷島屋本沢合店 佐々木 健次)

●『満願』新潮社 米澤 穂信
人の欲望と弱い部分とミステリが加わりゾワッとする。
結果が気になり読みふけってしまう1冊。
(谷島屋三方原店 佐藤)

●『約束の海』新潮社 山崎 豊子
山崎豊子さん最後の作品(構想30年)
映画にしてもいいと思います。
(TSUTAYA辻店 角 鈴子)

●『ちょちょら』新潮社 畠中 恵
ちょっと頼りない弟の新之介は、優秀な兄の自刃を受けて多々良木藩の江戸留守居役を引き継ぐことに!!
最初は頼りなくて、大丈夫か心配になりましたが、良い仲間に出会い、助け合いながら成長していく、そして色々と悩みながらも奔走する、若き藩士の奮闘記です。
(谷島屋富士宮店 京角 優子)

●『赤ヘル1975』講談社 重松 清
「カープ好き」なんてもてはやされるはるか40年近く前「カープ」は強かった。広島生まれでもファンでもないけれど、そんな時代をとらえたこの物語はとても琴線をくすぐるのです。
(MARUZEN&ジュンク堂書店 森本)

★『本屋さんのダイアナ』新潮社 柚木麻子★
本好きな2人の友情物語。現実にもいるかもしれない“ダイアナ”と“彩子”をついさがしてしまうほどちょっとリアルで夢のあるすてきなお話でした。
(静岡市立中央図書館 スタッフ)

思わず手に取りたくなるキラキラ美しい装丁本。仲良しの二人の少女が、各々にありのままの自分を受け入れ、我が身にふりかかった「呪い」を破り、成長していく姿に拍手しました。
(シミズブックス 杉田 レイ子)

お互いまったく違う環境で育った2人の少女が、惹かれ合い憧れながらも些細なことで袂を分かってしまう、女子のめまぐるしい感情の移り変わりの描写がリアル。苦しみながらも自らの呪いを自らで解いた2人が再び出会うラストは、まさにこれしかない。
2人をとりまく周囲の大人たちも魅力的。
(谷島屋浜松本店 永山 綾香)

●『本屋さんのダイアナ』新潮社  柚木麻子
仲良しだった二人が離れてしまい、その後も二人の中でのお互いの存在は大きいというような友達の絆があることが素敵だなと思いました。
(吉見書店 外商部 髙木小百合)

●『満願』新潮社 米澤穂信
伏線がちりばめられ、次々と場面が展開する長編ミステリーも魅力的ですが、登場人物たちの感情の交錯がぐっと凝縮された短編も魅力的であると気付かせてくれる作者の手腕にただ脱帽。
(吉見書店 外商部 原田とも子)

●『満願』新潮社 米澤穂信
全6話からなる短編集は、雰囲気的には「世にも奇妙な物語」にも似ていて、じわじわと不気味だけど、のめり込んでしまう文章で面白いです。
(吉見書店 竜南店 永倉愛美)

●『満願』新潮社 米澤穂信
ミステリーファン必読の本。
(吉見書店 本部 吉見龍夫)

●『ミッドナイトバス』伊吹有喜 文藝春秋
家族それぞれが問題を抱えながら生きている。お互いのことを想いながらも口に出すのが不器用な人たち。みんなうまくいってほしいと願うばかりです。
(吉見書店 竜南店 曽根健太郎)

●『ミッドナイトバス』伊吹有喜 文藝春秋
伊吹有喜さんの新作『四十九日のレシピ』を読んだ方も、そうでない方も、ぜひ読んでみてください。
(吉見書店 竜南店 朝比奈恒)

●『ミッドナイトバス』伊吹有喜 文藝春秋
主人公、登場人物に全く違う環境にある自分でも重ね合わせ、生き方をもう一度考え、先を向いて歩んで行こうと思える一冊です。
(吉見書店 外商部 杉村豊代)

●『長女たち』篠田節子 新潮社
この先ますます増える認知症…。現実問題としてぜひ必読。
(吉見書店 竜南店 渥美恵子)

●『長女たち』篠田節子 新潮社
長女である自分からしたら、心に鈍い痛みが残る作品です。フィクションですが、ノンフィクションであってもおかしくない。親とは?長女とは?弟妹とは?考えさせられる1冊です。
(吉見書店 竜南店 スタッフ)

●『長女たち』篠田節子 新潮社
自分も長女なので他人事と思えませんでした。
(吉見書店 外商部 スタッフ)

●『八月の六日間』北村薫 KADOKAWA
読んでいるうちに私も実際に山に登っているんじゃないかと思えた。山登りを通じて、人間関係、仕事やいろいろな心の悩みを払拭してくれる。普段山登りをしない私も登ってみたくなる1冊!
(吉見書店 長田店 店長 常木和幸)

●『お伊勢ものがたり 親子三代道中記』梶よう子 集英社
文政十二年、江戸から伊勢へ親子三代、隠居のまつ、嫁にいった娘・香矢、その娘・雪乃、そして手代の久松の四人が、皆それぞれ思いを抱えて出発。途中これまた一筋縄ではいかない人たちと道づれに。伊勢に一歩一歩近づくにつれ、ある者は決心し、ある者はわだかまりがとけ…。スピードが称賛される現代に比べ、とても不便な旅路だと思いますが、その不便さがとてもうれやましいと思いました。同じ日は二度とない、まして無為の日々などない、1日1日を丁寧に生きていきたいと、彼らの歩みから思いました。そして静岡の名所が随所に登場するのも魅力です。
(吉見書店 本部 西谷友子)

●『昼田とハッコウ』山崎ナオコーラ 講談社
ある町の本屋さんの三代目で、名ばかりの店長ハッコウと、ハッコウのいとこ昼田が書店の危機に二人で立ち上がる物語です。仕事柄、興味を持って読みましたが、町の本屋さんの在り方とか、本屋の仕事についても知ることができ、考えることが多々ありました。
(吉見書店 外商部 高津裕子)

●『私に似た人』實井徳郎 朝日新聞出版
「テロ」という言葉について深く考えさせられた本でした。
(吉見書店 竜南店 大髙宏之)

●『怪盗クイーンと魔界の陰陽師』はやみねかおる 講談社
キャラクターが魅力的で、出来事がとてもおもしろいです。ミステリー風で読みごたえ抜群です。
(吉見書店 外商部 スタッフ)

●『荒神』朝日新聞社 宮部みゆき
「想像ラジオ」もそうでしたが、現実の災難(地震・津波・放射能)を風化させずに、また未来に向けた若干の希望を抱ける物語。
(戸田書店 函南店 内田究)

●『吾輩ハ猫ニナル』講談社 横山悠太
名前はまだない猫が中国人で、現代日本を見たらこうなるのか…と正直とまどいました。中国語を習っている…キニナリ過ぎて
(戸田書店 城北店 高木春佳)

●『八月の六日間』KADOKAWA 北村黛
山登りが好きだ。弱い自分と対峙しながら対話できるところに魅力を感じてしまう。エッセイ的な小説だが自然や空気、そして登山途中の風景描写は本当に素晴らしかった。またどこかの山へ行きたくなった。
(戸田書店 掛川西郷店 高木久直)

●『八月の六日間』KADOKAWA 北村黛
きつくてたまらないのに一歩一歩登って降りて、時には後悔したり恐怖したりもするけれど、だからこそ感じられる雄大な山々の美しさと行き交う人々の優しさ、そして自分の心の奥にあるいろいろな気持ち…読んだら元気になれる、しかも山に登ってみたくなること間違いなしの一冊です。
(戸田書店 掛川西郷店 後藤公子)

●『満願』新潮社 米澤穂信
珠玉のミステリー短編集です。謎解きをしながらも、人間の心の奥底の怖さを見事に表現しています。6つの作品、それぞれ、作風は違いますが、予想外の展開と意外な結末に驚きの連続でした。
(戸田書店 静岡本店 スタッフ)

●『去年の冬 君と別れ』幻冬舎 中村文則
狂気的な「何かが」じわじわとねっとりとまとわりつくような…。読んでいてそれが輪郭として見えてくるようなつかめない感じがとてもする本です。一回読むとそこから抜け出せない文章やストーリーにはまってしまいます!
(戸田書店 静岡本店 スタッフ)

●『満願』新潮社 古川明大
まず表紙のセンスに目を奪われました。6つの短編集が表紙の行灯の様に人間の光と陰を丁寧に表現しています。近年のミステリーにあるような、どんでん返しはありませんが、人の心理をうまく描写し構成されたストーリーは説得力があります。
(戸田書店 静岡本店 スタッフ)

●『男ともだち』文藝春秋 千早茜
人と人との関係性を表す言葉や形式は、きっとあまりにも少ない。本書には、不確かで絶対的な男女の異形の愛が描かれている。また、ひとりの女性が羽化していく物語でもあり、ほろ苦い大人のビター小説です。
(戸田書店 掛川西郷店 渡辺千尋)

●『言の葉の庭』KADOKAWA 新海誠
じゃあまた会うかもね、雨が降ったら。約束も何もない2人。まだ子供で、でも大人で。もう! 大切にしなきゃと思う、この気持ちを。
(戸田書店 掛川西郷店 吉田祐輔)

●『海うそ』岩波書店 梨木香歩
風景の描写がすごい。主人公が人文地理学者という設定なのだが、南九州の山沿いの小さな島の自然や、風土が丹念に描かれており、それだけで充分だと思う。
(戸田書店 リブレ裾野店 海福)

●『シェイクスピアの退魔劇』KADOKAWA 永菜葉一
イギリスの文豪シェイクスピアが絶世の美女という設定が最大の魅力です。女性でありながら孤高なまでに強いその物言い、性格に、あの名作達を生み出したのは本当にこんな情熱だったのかも、と思わされます。
(戸田書店 静岡本店 林果歩)

●『本屋さんのダイアナ』新潮社 柚木麻子
“自分自身の呪いを解けるのは、自分だけ”。まさしくその通りで、2人の女の子が成長していく姿を追いつつ、ハラハラしたりドキドキしたりするけれど、苦しくて悲しくて、本を閉じてしまいそうにもなったけれど、でも、2人の戦っていく姿を目をそらさず読みきれた時に、自分も一緒に喜び、成長できた気がしました。自分がいかに周りに守られ助けられ生きてきたか、彼女たちと一緒に学び、読み終えた後は、自分も一歩、踏み出せる。そんな素敵な本です。
(戸田書店 静岡本店 金澤恵子)

●『アズミ・ハルコは行方不明』幻冬舎 山内マリコ
捻くれ感がいい。今追いかける作家であるのは間違いない。
(戸田書店 仕入部 藤波哲也)

●『ヒカルの卵』徳間書店 森沢明夫
ドキドキハラハラはありません。でも、「顔を五度上に向けて」まっすぐに進む主人公ムーさん(35歳、ムーミン似)の姿に、勇気をもらえること間違いなし。読み進めるうちに心の中に温かさと熱さが同居するような感じがして、とても心地よい物語でした。
(戸田書店 静岡本店 松本玲子)

●『東京自叙伝』集英社 奥泉光
東京の地霊である「私」が語る、江戸~現代までの日本史。あの事件もあの大震災も全て自分の性、と「私」はうそぶく。無責任な語り手に不快感が募るのに目を逸らすことが出来ないのは、「なるようにしかならぬ」と時代に流される「私」の姿が、まぎれもなく「わたし」であり「あなた」だからだ。さあ、どこへ向かおうか? それは「私達」にかかっている。
(戸田書店 静岡本店 島原あき)

●『精霊歌士と夢見る野菜』KADOKAWA 永瀬さらさ
ヒーローもキャラクター造形が秀逸! ヒロイン(主人公)とも目的がはっきりしているので感情移入がしやすく、応援してしまう。ヒーローと主人公との関係もさわやかでじれったく、何より、互いに夢を語りともに目指そうとする背中合わせな関係が本当にたまらない。少女小説でありながら恋愛<夢という構図がいい。ファンタジー小説だが、学園ものでもあるので、少女小説入門としても推したい。
(県内書店スタッフ)

●『書楼弔堂』集英社 京極夏彦
この本屋、のぞいてみたいけど、入りたくはない。
(戸田書店 富士宮店 スタッフ)

●『猟師の肉は腐らない』新潮社 小泉武夫
小説実話の中間だけど、中身の面白さは天下一品。懐かしい友と獲物で飲む場面の描写は著者ならでは。
(戸田書店 富士宮店 山口高史)

●『Amazonで変なもの売ってる』イーストプレス 谷山浩子
仲良し姉妹のミカルとハルルが迷い込んだ、世にも不思議な世界。これは夢かそれとも現実か―。NHK「みんなのうた」、スタジオジブリ「ゲド戦記」「コクリコ坂から」への楽曲提供など世代を超えて愛されるシンガーソングライター谷山浩子さんが贈るまったく新しい異世界ファンタジーです。20年ぶりの新作小説になるのでジブリ作品やファンタジーが好きな方にオススメの1冊です。
(県内書店スタッフ)

●『ハケンアニメ』マガジンハウス 辻村深月
プロデューサー、監督、アニメーターと様々な視点で覇権アニメについての考え方、作品作りへの姿勢が描かれていて、特にアニメに興味の無い方にもおすすめです。
(戸田書店 リブレ菊川店 横山英彦)

●『ねじまき片想い』東京創元社 柚木麻子
主人公の女性がとてもかわいく、主人公の恋を応援する仲間も1人1人個性的に書かれていてとても読みやすいです。
(戸田書店 リブレ裾野店 坂本結季)

●『山女日記』幻冬舎 湊かなえ
たぶん、山に登ることと本を読むことは似ている…一歩一歩、一頁一頁…登頂、読了と、目標に向かうことより大切なのは、自分に向き合うことなのだと気づかされる…ドロドロしていない湊香苗さん、オススメです!
(戸田書店 リブレ裾野店 藤本正美)

●『晩年様式集』講談社 大江健三郎
過去に扱われた問題を、何度も何度も繰り返し取り上げ直すこと。もう「終わったこと」「昔のこと」として扱われにくくなっていくことがらを、繰り返し呼び起こし、まだ何も終わっていない、何も片付いていない、何も解決していないと提示し続けること。文学者の仕事だと思う。
(戸田書店 静岡本店 田中寛行)

●『居酒屋ぼったくり』アルファポリス 秋川滝美
この世知辛い世の中で、ぜひ常連になりたい。続編希望。
(戸田書店 江尻台店 山田高久)

●『雨の狩人』幻冬舎 大沢在昌
大沢在昌のハードボイルドはやっぱり一味違う。ぜひご一読を!
(戸田書店 富士店 坂井健一郎)

●『花の鎖』文藝春秋 湊かなえ
湊かなえさんの作品の中では他とは少し違った作風で、既存の作品とは異なった楽しみ方ができました。また、3人の女性の話が並行して進んでいきますが、物語終盤でそれらが1つにまとまっていく様は圧巻でした。
(戸田書店 静岡本店 田中陽)

●『蔦重の教え』飛鳥新社 東浮世
(戸田書店 掛川西郷店 山崎真梨)

●『ディンの紋章』メディアファクトリー 赤巻なると
(戸田書店 リブレ裾野店 杉山亮)

●『上流階級』光文社  高殿円
アルバイトから百貨店の外商部の営業に抜擢され、外商部唯一の女性営業員 鮫島静緒の奮闘の物語。普段は目にすることのできない、百貨店外商という仕事でお客様のために奮闘し、次第に担当者としてお客様に受け入れられていく静緒の姿に、清々しい気持ちになりました。
(本の王国浜松雄踏店 加藤 綾)

●『明日』角川書店  佐倉淳一
“発達障害”をテーマにした小説ですが、とても前向きで温かみのある本だと思います。大人だけではなく、子供にも教えるべき点がしっかりと書かれています。
(本の王国浜松西店 スタッフ)

●『さよなら神様』文藝春秋  麻耶雄嵩
2005年に発売された「神様ゲーム」の続編。最初に犯人が分かってしまう作品ですが、神様の周りの人間関係が面白い。読み進めるにつれ、後味の悪さがあるが、それも麻耶ワールドの魅力です。
(本の王国浜松西店 河口雅哉)

●『貘の檻』新潮社  道尾秀介
夢中になって読みました。多彩なトリックに加えて個々の人間関係の描写がすばらしい。言葉の持つ意味のひとつひとつが生きている。“真実は悪夢の中に隠されている”まさにこれです。
(本の王国浜松西店 高林哉子)
 
●『検事の死命』宝島社 柚月裕子
罪を犯した人間の内面にまで踏みこんで、法を執行する検事 佐方貞夫シリーズ3作目。表題作で描かれる法廷シーンには、頁をめくる手が止まりませんでした。
(本の王国浜松西店 スタッフ)


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Posted by 静岡書店大賞SST at 18:54 │寸評