2013年03月25日

寸評① 小説部門

静岡書店大賞「小説部門」~書店員たちの寸評~


事務局長の高木さんが、県内の各書店員が寄せてくれた寸評をまとめてくださいました。まずは小説部門からご紹介します。「掲載すれば素敵な寸評の数々がもっと沢山あったのですが、掲載OKに印をしてくれた方は、投票者数の約半数程度でした。それを考えると、ちょっともったいないなぁなんて思います。」と、高木事務局長。大変な作業、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました!当ブログ管理人、教科書販売の繁忙期で、更新が遅くなり、また体裁も改行をしたくらいで大変申し訳ありません。取り急ぎ、この形で掲載させていただきます。


●「秋思ノ人」双葉社  佐伯泰英
主役である磐音のキャラクターが何よりも魅力的。絵に描いたような好青年です。彼を取り巻く人々も同じくステキなのです。磐音はどんな困難があっても目的を達成するよう努力するのもまた良いです。優しいからこそ人を踏みにじる悪に対して激しい怒りを露わにするというのも人間らしいと思う。
(マルサン書店仲見世店 スタッフ)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
結局のところ真犯人が分かっていないじゃないか、と思うのですが、そこがまた妙なリアリティ感があって良いと思った。刑事の意地と反比例するかのような市民の反応もまたリアル。当事者ではないからこそネットであおる人々というのも今の世情を表していると思った。けれど、冤罪というのはこういった思い込みでなるのだなと理解すると、恐ろしいなと感じた。
(マルサン書店仲見世店 スタッフ)

●「元気でいてよ、R2-D2。」講談社  北村薫
日常の風景を綴っているだけなのに、ある一つの要因で全く別の情景となってしまう、そんな驚きや恐ろしさが短編に詰め込まれている。じんわり恐い。
(マルサン書店仲見世店 スタッフ)

●「ソロモンの偽証」新潮社  宮部みゆき
読み終わって「まだ始まりにすぎない!!」と興奮。登場人物が多く、場面もぐるぐる変わり複雑なのに一人一人の書き分けがしっかりとしていて、それぞれのエピソードに感情移入してしまう。やっぱり宮部みゆきって凄いなぁ~!あと2冊もあると思うとわくわくが止まらない。
(マルサン書店仲見世店 本田)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
地元が出てくるからと薦められて読んでみるも、確かに知っている地名が出てきすぎて事件に集中できない。(笑)身近にこんなに殺人事件が起きたら大変だわ~!と今まで味わったことの無い新しい感覚に・・・。静岡県東部の方には是非おすすめしたい!!
(マルサン書店仲見世店 本田)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
地元:沼津が舞台とあって半端ないライブ感がすごい!この興奮は冷静な判断ができない!
(マルサン書店仲見世店 スタッフ)

●「沈没ホテルとカオスすぎる仲間たち」廣済堂  七尾与史
静岡県出身の著者の新作。ミステリーの王道を行きつつ、キャラ立ちをはっきりさせる文体は、小説初心者にピッタリ。おすすめ。
(マルサン書店仲見世店 スタッフ)

●「上海かたつむりの家」プレジデント社  六六著 青樹明子訳
この本は、中国でドラマ化され大人気となったにもかかわらず、突然放送中止となった「蝸居」の原作小説です。マイホームを手に入れたいという庶民の思いから引き起こされる人間関係、巨大な社会問題、現代上海のリアルな姿が鋭く描かれていて、ぐんぐん読み進んでしまいます。中国に関心がある人もない人もまずは相手を知ることからはじめてみては?
(マルサン書店仲見世店 田中)

●「往復書簡」幻冬舎  湊かなえ
手紙を通して、現在と過去が交錯する湊かなえ作品の面白さを感じました。
(マルサン書店仲見世店 西村)

●「本ボシ」講談社 曽根圭介
舞台が沼津という読んでいてすごく親しみを感じました。そして、余韻を残すラスト、読み手によって感じ取る事が異なる作品だと思います。
                               マルサン書店仲見世店 西村
●「海賊とよばれた男 上・下」講談社  百田尚樹
戦後・・・焦土と化した日本の復興を願い、一人の男を中心に優秀で命知らずの男たちが立ち上がった。あなたは主人公たちと一緒になって戦後日本を疾走しながら、まだまだ私たち日本人は頑張れるんだと、日本人の忍耐力と和を尊ぶ生き様は戦争に負けた今でも息づいているんだと思うでしょう。三百六十八ページの長編が物足りない!まだまだこの男たちの軌跡を読ませてくれ!と痛切に感じる作品です。しかも実話。                          (マルサン書店仲見世店 小川)

●「日御子」講談社  帚木蓬生
今なお謎に包まれた古代国家「邪馬台国」。それを治める女王卑弥呼(ここでは日御子)はいままで様々な作品に神秘性と時には残虐な暴君として登場してきました。しかし、この本を読んでなにかこうしっくりきたというのか、とても誇らしい気持ちになったのです。民を慈しみ、争いを好まない女王:日御子。これこそが本当の姿を描いた作品なのではないでしょうか。そして卑弥呼に多大なる影響を与えた側近として使える「使えき」(通訳)の一族が代々守ってきた四つの教えこそ、日本人の習慣・心情にもっとも寄り添ったものでした。人と人、国と国とを結ぶ大任を背負った「使えき」は、この作品を通して過去と現代と未来をも結ぶ絆をここに残したのです。日本人として守り続けなければならないものは他でもなくこの和を尊ぶ四つの教えでした。長編ではありましたが、日本人文化論としても娯楽作品としても楽しみながら読むことができる傑作です。馴染み深い三国志の時代を絡めたストーリーも心憎い配慮。今年イチバンの古代歴史小説です。
(マルサン書店仲見世店 小川)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
「現場は沼津」がイチバンしっくりくるキャッチコピーです。静岡県東部の中核都市として発展してきた沼津。いまその街を中心に連続殺人が!狩野川、千本浜、香貫大橋が登場し、近隣の清水町・裾野市でも事件が発生。そして終盤に差し掛かるころにはなぜか「マルサン書店」の名が!まさか店内で事件発生なのか?!作者は沼津出身で江戸川乱歩賞受賞者の曽根圭介。ご当地警察小説が誕生しました。
(マルサン書店仲見世店 小川)

●「その時までサヨナラ」文芸社  山田悠介
遺された指輪から明かされるミステリー。思いもよらぬ突然の事故で命を失くしてしまった妻が他人の体を借りてまで、伝えたかった夫への思いと息子への愛がページをめくるごとに読者にも伝わります。そしてラストには父と息子に切っても切れない絆が・・・・。最後まで一気に読んでしまいました。それくらい素敵な家族の愛の物語です。
(マルサン書店仲見世店 荒井)

●「ツナグ」新潮社  辻村深月
等しい重さを持った生者と死者の命の物語。たった一度しか使えないチケットを自分は本当に使うだろうか。そして一夜の邂逅は生者と死者に何をもたらすであろうか。また「使者」(ツナグ)にも「使者」を伝えてゆくために、それぞれの思いや葛藤がある人の心の奥まで描いたこの作品は人と人の繋がりの大切さを教えてくれる。家族、友人、恋人、「思い」というものは伝わるのだということを!
(マルサン書店仲見世店 荒井)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
橋のたもとから始まる連続殺人事件。次から次へと起こる殺人事件は、読者を飽きさせず次のページをめくる気分に誘う。作者が地元である「沼津」が舞台のこの作品は、最後の最後までがミステリー。是非、読んで頂きたい一冊です。
(マルサン書店仲見世店 荒井)

●「ツナグ」新潮社  辻村深月
「一番会いたい大切な人は?」と聞かれたら、誰を思いますか?そんな思いを強くする物語です。今、一番おススメする本です。                     (マルサン書店仲見世店 諸町)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
自分が知っている土地が出てくるとドキドキ感が増します。あそこでこんな事件が・・・実際あったら困りますが、本の中だと面白いです。              (マルサン書店仲見世店 諸町)

●「謎解きはディナーのあとで」小学館  東川篤哉
文庫版が発売し、読みやすくなりました。ドラマを見ていた方にはもう一度コミカルな掛け合いが楽しめ、初めて読む方にも短編で読みやすくおススメです。
(マルサン書店仲見世店 諸町)

●「マリアビートル」角川書店  伊坂幸太郎
グラスホッパーの続きの長編小説!ポップでコミカルで深いストーリーでひきこまれます!グラスホッパーの何年後かを描いているので同時にグラスホッパーも読むといいと思います!ハードボイルド好きにはたまらない一冊。伊坂ファンにはたまりません。
(マルサン書店富士店 山島)

●「第2図書掛補佐」幻冬舎  又吉直樹
本大好きの芸人代表の彼が今まで読んだ中でもオススメな一冊を紹介してくれている。又吉の子どもの時の話しや、読むきっかけになったエピソードなど面白おかしくかかれている。実際に読んだ本もある。様々なジャンルにとんでいるので何を次読めばいいのか悩んでいる人にオススメ。
(マルサン書店富士店 山島)

●「番犬は庭を守る」幻冬舎  岩井俊二
原爆後放射能によって汚染された人々・世界を描いている10年ぶりの小説。3.11前からかかれていたこの小説のストーリーや背景が今の世に起こりうると思う。一つ一つのものを失っていく主人公ウマソーはそれでも生きていくのか、どんな世界でも受け入れて生くすべはあるのか、問いただす一冊。好き嫌いがはっきり分かれる小説かと思いますが、岩井俊二の世界にずっとひたっていたい中毒のようなものがある気がします。                       (マルサン書店富士店 山島)

●「黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2」文藝春秋  奥泉光
本格的なミステリー小説を読みたい方にはおすすめできません。なぜならまず人は死なない、主人公は基本的に事件を解決しないからです。また通称クワコーこと桑潟幸一準教授はいわゆる本格的なミステリーの主人公に比べ、人間的で自分のことで精一杯です。そんな人間味あふれるクワコーのスタイリッシュ(?)な生き様を見たい方、そしてミステリーが苦手な方でも間違いなく楽しめる良作です。
(戸田書店江尻台店 小暮)

●「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1」エンターブレイン ブラッドレー・ボンド、フィリップ・モーゼズ
正直なところまだ読めてません。ただネットで非常に話題になっているようで、これから読みたいと思ってます。                           (戸田書店江尻台店 小暮)

●「東京プリズン」河出書房新社  赤坂真理
これも読み終えてません。近代史に興味があるので、タイトルにひかれて思わず買っちゃいました。
(戸田書店江尻台店 小暮)

●「夜の国のクーパー」東京創元社 伊坂幸太郎
まさか。                             (戸田書店静岡本店 仙波)

●「ロスジェネの逆襲」ダイヤモンド社  池井戸潤
「オレバブ」シリーズ3作目。おなじみの主人公・バンカー半沢直樹の信条は「基本は性善説。やられたら倍返し」だ。その信条にのっとって半沢による正論づくめの勧善懲悪劇は爽快そのもの。ワルイやつはボッコボコ!!日本小説界きってのイケメンに違いないと思う。
(戸田書店静岡本店 太田)

●「ここは退屈 迎えに来て」幻冬舎  山内マリコ
都会へ異常な憧れを抱いて、ここには何も面白いことなんてない、と田舎を蔑む。鬱陶しい話だと思いながらも読了したのは、共感する描写が多かったからだと思う。また、全編通して登場する「椎名」が、憧れの男子から冴えない既婚者へと輝きを失っていく様が残酷でありながら小気味よかった。
(戸田書店静岡本店 太田)

●「あまからカルテット」文藝春秋  柚木麻子
アラサー女子4人組がとにかく仲のよい話。ドラマを見ている感覚であっさり読め、また読後が大変よい。いくつになっても友人と仲良くしていたいなぁ、と思わせられる一冊。女の子のドロドロを書いたらピカイチ、な柚木さんだが、ポカポカした女の友情話もいいなぁ、と思った。
(戸田書店静岡本店 太田)

●「勝ち逃げの女王」新潮社  垣根涼介
このシリーズは全部好きです。面白くて、考えさせられたりもする。仕事とは?人生とは?
(戸田書店江尻台店 坂井)

●「三匹のおっさん ふたたび」文藝春秋  有川浩
「三匹のおっさん」の続編です。前作同様痛快で、こんな3人近くにいて欲しいと思いながら、楽しく読める小説です。                        (戸田書店江尻台店 杉山)

●「ノエル」新潮社  道尾秀介
連作短編です。最初はドキッと考えさせられる内容ですが、ラストは心温まるストーリーです。読んでやさしい気持ちにさせられます。                  (戸田書店江尻台店 杉山)

●「舟を編む」光文社  三浦しをん
辞書作りの工程が楽しめます。その中での人間もようもおもしろい。まずはよみやすいです。
(マルサン書店 スタッフ)

●「ジェノサイド」角川書店  高野和明
スケールの大きさ、話の構成、巧みな文章、どれをとっても100点満点です。読んでいてこんなにハラハラドキドキした小説は久しぶりでした。小説好きの人もそうでない人も絶対にハマると思います!全世界の人に読んでもらいたいです。                  (マルサン書店 スタッフ)

●「プリティが多すぎる」文藝春秋  大崎梢
主人公南吉をとりまく人々によって彼がどう変わっていくか?!が見どころです。本気で、とりくんでいる彼の姿を見ると、ティーン雑誌の見方も変わります。
(マルサン書店富士店 大畑)

●「影法師」講談社  百田尚樹
普段読まない時代小説でしたが、とても読みやすかったです。今も昔も変わらない友情の物語ですが、ここまで深い友情を結べるものかと…。最近泣くことは滅多になかったのですが、久しぶりに泣きながら読みました。自分勝手な自分の生き方を考えさせられました。
(マルサン書店富士店 廣瀬)

●「哀しみの星」角川書店  新堂冬樹
次はどうなるのか、このつづきは――。2人の恋愛のゆくえにもハラハラして、とにかく次の展開がきになって仕方ない!!一晩で読み終わってしまった……。ハラハラするのに、心がしめつけられるような切ないラブ??ストーリー。ただの恋愛小説とは少し違った心が痛むラブストーリー。
(マルサン書店富士店 渡辺)

●「まちがい」集英社  辻仁成
愛とは??恋とは何か??をすごく考えさせられた。最初の読みはじめは、「最悪な男ども。」と思って読んでいたけど、読み進めていくうちに根本には愛があることに気づいた。その愛は時に迷惑であることもあるけれど……。どんどん話が展開していきあっという間に読み終わりぼうぜんとした。話に入り込みすぎてしまい数日間病んでしまうほど、でもおもしろい。
(マルサン書店富士店 渡辺)

●「傷だらけの果実」河出書房新社  新堂冬樹
「まぢか!?」と叫びたくなるような結末でナゼか1人でニヤけてしまう。途中、一体緑はどうなってしまうのか。この2人には本当に望みどうりの未来が待っているのか…。ドキ×2ワク×2しながらあっという間に読み終えてしまった…。「一体なんだったの??」とぼーぜんとしてしまうけど、何ともいえない感情で読み終えた。今までに読んだことのない種類の物語で新鮮だったです。
(マルサン書店富士店 渡辺)

●「ソロモンの偽証」新潮社  宮部みゆき
大人だけでなく、中学生や高校生にも読んでもらいたい内容でした。
(戸田書店御殿場店 スタッフ)

●「犬とハモニカ」新潮社  江國香織
NHKのドラマ「カレ、夫、男友達」を見てから、江國さんの作品が好きになりました。
(戸田書店御殿場店 スタッフ)

●「コトコノコ」幻冬 舎 Cocco
愛し方も守り方も、大人になれば分かると思ってた。でもそんなのは幻想で気が付いたら腕に抱えた小さな子供を抱いて、不安を抱えながら生きていかなければいけなかった。自分のこともままならないのに。それでも愛したくて、一人の人間として育っていく我が子の自分と違う「個性」を喜んで受け入れていくこと。みんなそうやって生きてる。優しいと愛しいがたくさんつまった本です。大好きです。
(戸田書店リブレ菊川店 田島)

●「百年法」角川書店  山田宗樹
告白しますと、この一年に刊行された小説は一冊も読んでおりません。なので「これから読んでみたい小説」を挙げさせていただきました。
(戸田書店リブレ菊川店 福地)

●「悪の教典」文藝春秋  貴志祐介
バトル・ロワイヤルの教師版でしょ?と思って読み始めたらもっとひどかった!(笑)けど読む手が止まらず一気に読み終わりました。担任が受け持ち生徒を皆殺しにするという発想がすでに恐ろしい…。
(マルサン書店富士店 遠藤)

●「ばくりや」文藝春秋  乾ルカ
連作小説で自分の不要な能力を他人と交換できる店「ばくりや」に訪れた人々。本当にいらない能力ばかりで、でも交換できる力は自分で選べなくて…隣の芝生は青い。普通が一番と思わされる本。
(マルサン書店 遠藤)

●「隠し事」河出書房新社  羽田圭介
ある日ふと、彼女の携帯が気になる主人公。そこから、あらゆる手を使い彼女の携帯の中身を知ろうとする。その執念が怖かったのですが、彼女のほうが何枚も上手で…。
(マルサン書店富士店 遠藤)

●「きみはいい子」ポプラ社  中脇初枝
ネグレクトや児童虐待が巷を賑わす昨今。だからこそ親となり子を育む方には読んでほしい。虐待される子、虐待してしまう親、それをとりまく第3者的主人公たち。ネガティブな話題に触れながらもトンネルの向こうに光明を感じさせてくれる一冊。きっと我が子を抱きしめたくなる。珠玉の五編。※私は先生を目指す若者にもすすめています。
(戸田書店掛川西郷店 高木)

●「かっこうの親もずの子ども」実業之日本社 椰月美智子
幼い子を持つお母さんや、これから母となる女性にこそ読んでほしい一冊。親として母として胸に迫るものが必ずある。目を背けたくなるかもしれない。けれど子育てにバイブルなど無いという理どおり揺れ動く主人公の感情は、誰しも迷い悩みながら共に生きるという点において、救いの一冊かもしれない。私は男性だから感じ方は全く異なるのかもしれないが、今年度の傑作の中の一冊に違いまい。
(戸田書店掛川西郷店 高木)
●冲方丁さんの作品の中で、恐らく最高の傑作ではないだろうか。日本の老若男女が知りうる水戸光圀像を素晴らしい形で打ち破ってくれた。ページをめくるのがもったいない感覚が芽生える本書に、静岡県の皆様もすぐにでも出会ってほしい。
                                (戸田書店掛川西郷店 高木)
●「飛行士と東京の雨の空」筑摩書房  西崎憲
とても静かで、美しい短篇集。特に『理想的な月の写真』は以前文學界で読んでいて、単行本になるのを待ち焦がれて読了後のなんとも言えない優しい気持ちには多くの人に感じていただきたい。そして、西崎憲さんの美しい文章を味わっていただきたい。
(谷島屋営業部副部長 中土居)

●「サラの柔らかな香車」集英社  橋本長道
純粋に面白く読める将棋小説。新人賞作家らしい文章表現を補って余りある面白さ。とくに終盤の展開は目が離せないスピード感があり、小説の面白さを再認識できる。
(谷島屋営業部副部長 中土居)

●「迷宮」新潮社  中村文則
芥川賞作家、渾身の文学作品。中村文則さんの文章がおそらく一番好き。それだけでも薦めたいのに、ミステリ風に読ませておいて、もっともっと深い深いお話し。
(谷島屋営業部副部長 中土居)

●「火山のふもとで」新潮社  松家仁之
完璧な文章、完璧な描写、完璧な小説。人物、風景、料理、建築、鳥、匂い、空気、あらゆる描写が美しい。一語一語がどれも丁寧で、繊細で、華美でなく、心地よい。ストーリーも控えめに、静かに、淡々と進む。それも、心地よい。この小説の美しさ、素晴らしさを伝えたいのに、見合った言葉が出てこないのが悲しい。時間をかけて、大切に、ゆっくりと味わいながら読んでほしい。日本語は、かくも美しい。                                (谷島屋専務取締役 斉藤)

●「その日東京駅五時二十五分発」新潮社  西川美和
淡く美しく静かな戦争小説。実弾も撃たず飛行機にも戦艦にも乗らず、故郷が1つの爆弾で吹き飛ばされた事を知りながらも実感が湧かず、一足先に終戦を知り東京駅で八月一五日の朝を迎え、皇居を横目に汽車に乗り、広島に帰郷する若き通信兵の物語。
(谷島屋専務取締役 斉藤)

●「屍者の帝国」河出書房新社  伊藤計劃×円城塔
『虐殺器官』『ハーモニー』の二作の長編小説で21世紀の日本SFに衝撃を与え夭逝した天才作家・伊藤計劃。その彼が残したプロローグと構想を元に、盟友である芥川賞作家・円城塔が後を継いで完成させた、という、スリリングな成り立ちをした作品だが、内容はそれ以上にスリリング。読み進む内に虚構に脳が浸食されるえもいわれぬ快美感とともに幻惑の極みに達すること必至。フィクションでしか味わえない境地がそこにはある。”幻想による幻想”によって紡ぎ出された最高に刺激的な物語。
(戸田書店リブレ菊川店 赤堀)

●「空飛ぶ広報室」幻冬舎  有川浩
作品ごとに新たな分野や様々な業種を舞台に選びつつ、しかもそれが全て面白い、というのが有川浩のすごい所だと思っている。この話は有川浩としては既におなじみとなった自衛隊が舞台で、『ラブコメ今昔』に収録された短編「広報官、走る!」を下敷きにはしているものの、綿密な取材に当たったことを彷彿とさせるディテールの細かさとリアリティには相変わらず感心させられる。また、2011年3月11日以後に発表された自衛隊小説、という意味でも、東日本大震災で自ら被災しつつ救助活動を行った自衛隊のことについて触れた巻末の「あの日の松島」は有川ファンでなくても必読だと思う。「有川浩に外れなし」と常々公言しているのだが、本作も期待通り、いや期待以上に面白かった。
(戸田書店リブレ菊川店 赤堀)

●「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」富士見ファンタジア文庫  左京潤
第23回ファンタジア大賞の金賞受賞作。舞台は魔王が倒されたために勇者制度が廃止されたファンタジー世界。勇者予備校を首席で卒業したのに勇者になれなかった主人公が、しぶしぶマジックショップ(こちらの世界の家電量販店みたいなお店)で働くことになったことから起こる騒動を描いたライトノベル。一風変わった設定が最大の特徴だが、するする読めるし、お約束を踏襲しつつ生き生きと描かれた登場人物も魅力的だし、デビュー作にしてこの面白さはちょっとすごいと思った。小売業従事者ならニヤッと笑ってしまう事例もちりばめられているので、書店員もけっこう楽しめるんではないか、と思うんだがどうだろう。現在4巻まで刊行されている。ちなみに著者はこの作品でデビューした、掛川出身の期待の新人作家(たぶん掛川市在住)。→https://twitter.com/315yen 
(戸田書店リブレ菊川店 赤堀)

●「楽園のカンヴァス」新潮社  原田マハ
アンリ・ルソーの名作の謎を解く物語。「夢を見た」は真作か?贋作か?絵の下のブルーピカソは?そしてバイラーの正体が明らかになった時の衝撃。この物語に出てくる画家・絵画が実際に存在するので知りたい、この目で見てみたいと思わせる作品です。実際私もルソーの「夢」やエル・グレコの受胎告知を見たくなりました。
(戸田書店城北店 伊藤)

●「1Q84」新潮文庫  村上春樹
不思議な月が浮かび、リトル・ピープルがすむ1Q84の世界、深い謎を多くのはらみながら青豆と天後吾のストーリーが始まる。                     (戸田書店城北店 スタッフ)

●「天地明察」角川書店  冲方丁
夢の実現のために勇気100倍になれる本です。           (戸田書店城北店 スタッフ)

●「珈琲店タレーランの事件簿」宝島社文庫  岡崎琢磨
京都が舞台というところと、軽妙な会話、登場するキャラが謎めいた老人、などおもしろい。
(戸田書店城北店 スタッフ)

●「K」講談社  三木卓
著者がもともと静岡に居たということ、そしてかなり昔のことではありますが私の家族と多少なりとも縁があったということを聞かされていたので、そんな著者の今の状況や空白の過去を知りたいと思い手にとりました。人は必ず死んでいきます。そんな時、夫婦としてどう看とるのか、ありのままを読めた気がします。しかも作家の夫婦…何か私達とは違う気がして面白く読みました。人の死とは悲しいだけじゃない。読み終えた後は何ともすがすがしかったです。
(戸田書店城北店 スタッフ)

●「桜大の不思議の森」徳間書店  香月日輪
3月11日以降、東北に対する目が変わったように思います。以前は「田舎=東北」とのんびりしたイメージだけしたのに、今では「希望のシンボル」と祭り上げられたようになって。河童やざしきわらしはどこに行ったのかな?そんな時、私はこの本で彼らがふつうにいる東北を思い出します。
(戸田書店城北店 高木)

●「白ゆき姫殺人事件」湊かなえ  集英社
美人OLが惨殺された不可解な事件、一人の女性に疑惑の目が集まった。噂が噂を増幅する―。果たして彼女は残忍な魔女なのか?一度読んだら後にはひけません。ページをめくる手が止まりませんでした。
(戸田書店城北店 松永)

●「世界から猫が消えたなら」マガジンハウス  川村元気
僕と猫の陽気な悪魔の7日間の物語。失うことで大切さがわかる。読みやすい人生哲学の本です。
(戸田書店城北店 松永)

●「空より高く」中央公論新社  重松清
廃校が決まった高校に赴任して来た非常勤講師の先生と「始めるウイルス」に感染させられた主人公ネタロー。“何かを始める”ことの大切さ、少し勇気が必要かも知れないけどやりきった後の爽快感、ジン先生のハートの熱さに読んでいて胸がアツくなった。私も何か始めてみようと思わせてくれる作品。
(戸田書店城北店 三浦)

●「千年鈴虫」祥伝社  谷村志穂
この小説は、灯されてしまった小さな火を静かに揺らしながら、密かに己を焦がしながら、溶けてゆく蝋燭のようでした。源氏物語と現代の見事な結び合わせ、品のある文章で綴られたカリソメの世界。赤い梅の花が散らされた刹那的小説「千年鈴虫」に、清き一票を捧げたい。
(戸田書店掛川西郷店 渡辺)

●「ひなこまち」新潮社  畠中恵
しゃばけシリーズの中でも久々に好きな話です。桜舞い散る江戸の街でひなこまちを中心に色々な人の思惑やきっかけで動き出す物語。若だんなは2人のにいやや、周りの妖の心配をよそに自分に助けを求めている人を探しに…。何となくいつものお約束的なストーリーですが、そこかしこに若だんなの成長っぷりが見えたり、雪柳や殿など、人間のほうも良い味の登場人物が出て来たりと今回も、飽きの来ない見事な出来栄えです。
(谷島屋エキマチ店 村松)

●「残穢」新潮社  小野不由美
先にメディアファクトリーの鬼談百景を読む事をお勧めします。    (谷島屋エキマチ店 村松)

●「あなたへ」幻冬舎  森沢明夫
富山の刑務所で働く倉島が、ある日亡き妻から一通の手紙を受けとる。それには遺骨を故郷の海に撒いてほしいと書かれており、倉島は長崎まで旅に出ることとなる。倉島が旅先で出会う人々との交流が描かれており、家族や夫婦を大切に思う登場人物に、深く心を動かされました。
(谷島屋本沢合店 本多)

●「それでも、桜は咲き」幻冬舎  矢口敦子
東日本大震災にあった主婦の物語。津波被害、原発問題を体験し、東京にいる夫と最終的には離婚を選択する主人公。人は、どんなことが起こっても、目の前の問題を乗り越えなければ、次に進めないのだと改めて考えさせられました。
(谷島屋本沢合店 本多)

●「きみはいい子」ポプラ社  中脇初枝
虐待を扱った小説ですが、思ったよりもソフトな描写で読み易かった。子供への虐待による事件が、連日の様に報道される今、誰もが無関心ではいられないテーマだと思うので、是非おすすめしたいです。
(谷島屋本沢合店 本多)

●「山手線探偵」ポプラ社  七尾与史
経営難で事務所を失った腕利きの探偵と広報助手の小学生の女の子、作家(自費出版)の三人が山手線に乗りながら様々な事件を解決する。軽めの話かなと思いきや、冒頭のシーンにびっくり。事件の真相も重めで意外でした。でもテンポよく読めます。地元の作家さんでもあります。
(谷島屋本沢合店 佐々木)

●「限界集落株式会社」小学館  黒野伸一
「マクドもない、スタバもない、セブンイレブンさえない」という一文から始まる、限界集落が再生するまでの話。現実はこううまくはいかないだろうけど、何事も実行しなければ始まらないということを考えさせられた作品です。                      (谷島屋本沢合店 佐々木)

●「ルーズヴェルト・ゲーム」講談社  池井戸潤
青島製作所という経営難に苦しむ中小企業が舞台。人員削減などコスト削減を迫られる中、野球部を継続させるべきか廃部かに悩む。野球部は監督や主要選手が引き抜かれるなか快進撃を続けるチーム。最終的には…。読後にはスポーツ後のような爽快感が得られるのでは。
(谷島屋本澤沢合店 佐々木)

●「戦火の馬」評論社  マイケル モーパーゴ
映画にもなりました。人間だけでなく、動物にもきびしい戦争をとおし、平和のありがたさを実感しました。                               (谷島屋本沢合店 平野)

●「清須会議」幻冬舎  三谷幸喜
5日間の心理戦の攻防、信長亡きあとの天下は誰の手に。ドキドキしながら読んでください。
(谷島屋本沢合店 平野)

●「杉下右京の冒険」朝日新聞出版  碇卯人
TV、映画でおなじみ相棒の小説版。右京さんの推理がさえわたります。  (谷島屋本沢合店 平野)

●「ルーズヴェルト・ゲーム」講談社  池井戸潤
社会人野球部と会社の存続をかけた男たちの戦い。ミツワ電器が、青島製作所を経営統合しようとするが、そこの老番頭は、社長にしてやると誘われる。しかしノルマでがんじがらめになるのは簡単だが自由気ままでいながら技術力の冴え渡る会社になるのは難しい。私はミツワの社長より、青島製作所の一兵卒でありたい。という場面は、とても感動的でした。
(谷島屋本沢合店 犬塚)

●「ロスジェネの逆襲」池井戸潤  ダイヤモンド社
バブル世代の半沢とロスジェネ世代の森山が共に、親会社からの圧力を受けながらも、戦うエンターテイメント企業小説。文中の半沢の言葉「仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れたとき、人は自分のためだけに仕事をするようになる。自分のためにした仕事は、内向きで卑屈で身勝手な都合で醜く、歪んでいく。そういう連中が増えれば、当然組織も腐っていく」がとても印象的!!                           (谷島屋本沢合店 犬塚)

●「萩殺人事件」光文社  内田康夫
水戸黄門のように、結末はわかりきっているけれども、犯人にたどり着くまでの描写は、とてもおもしろい。浅見光彦がなかなか登場してこないのでやきもきします。     (谷島屋本沢合店 犬塚)

●「正しく生きる」アスコム  鍵山秀三郎
小説ではないですが、是非読んでいただきたい一冊です。今、人間関係が希薄になって混乱し、社会が複雑になって暮らしにくい世の中になってしまったようで、「勝手の人」が増えているような気がします。「いまだけ」「自分だけ」。世の中が穏やかに暮らせるちょっとした「思いやり」「気遣い」「感謝」とっても参考になる一冊です。                       (谷島屋本沢合店 小池)

●「ハング」中公文庫  誉田哲也
すごく久しぶりに読んだ警察署説でした。背景描写や登場人物も詳細で面白かったです。昔のようにまた警察小説にはまりそう。                       (谷島屋磐田店 中村)

●「死者の帝国」河出書房新社  伊藤計劃、円城塔
伊藤計劃が途中まで著作し、円城塔が途中から著作した共著ですが、不自然さはなく、さすがに盟友である二人と感じました。                        (谷島屋磐田店 中村)

●「死者の帝国」河出書房新社  伊藤計劃、円城塔
この本の出自がなによりもドラマチック。計劃ファンにとっては、嬉しいような、やるせないような、とても大事な一冊です。                      (戸田書店静岡本店 宇田)

●「心霊探偵八雲9」角川書店  神永学
これよりおもしろいシリーズはないと思う。読むのがおそい私でも2日で読み終わる本はこのシリーズだけ。                            (戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「おもかげ復元師」ポプラ社  笹原留似子
震災後ボランティアで300人以上を復元した女性納棺師のドラマ。大切な人が亡くなっても残された人に生きる力をくれる感動ストーリーでした。           (戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「神様のカルテ 3」小学館  夏川草介
1、2巻もとてもよかったのですが、3巻はさらに素敵な作品でした。厳しい地域医療の実態がリアルに描かれており、医者や看護師達の1人の人間として喜び、葛藤する姿にとても心動かされました。今回は「医者とはどうあるべきか」という難題をつきつけられ、大きな決断をします。舞台が信州ならではの美しい景色や木花の描写にもとてもいやされます。
(戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「ルーズヴェルト・ゲーム」講談社  池井戸潤
池井戸さんならではの中堅企業の奮闘ぶりを描いた痛快小説です。次々と押し寄せる困難に立ち向かう、経営陣や廃部寸前の野球部のメンバーはそれぞれ、熱い志を持った人物ばかりで、どんどん引きこまれラストまで一気に読めます。                  (戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「楽園のカンヴァス」新潮社  原田マハ
絵画にはまるで無知の私でもとても楽しめた作品でした。アンリ・ルソーの描いた作品の真贋を判定するという物語をミステリー仕立てで展開していますが、ベースとなるルソーの生きた時代は史実に基づいており美術史を少しだけ勉強した気分になれます。元キュレーターの著者ならではの絵に対する情熱が伝わってくる本でした。                   (戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「水のかたち 上・下」集英社  宮本輝
宮本輝さんの小説は、いつも私に「生きる」ことについて問いかけ、読了する頃には、小説自体がとてつもない“生命力”を輝かせ、私のエネルギーになってくれる。どのような環境にいても、“自分”を失わないことの大切さ、人と縁し、生きていくことの素晴らしさを教えてくれる。そして何より、人間は、自分の気持ち次第で、どんな宿命をも自分できりひらいていける。今回の作品も、そのことを強く感じさせてくれた。おだやかに、時に激しく、“水のかたち”にそって、自分の人生を歩んでいく。それはどのようなことなのか。多くの人に、水であることの難しさ、素晴らしさを感じてほしい。
(戸田書店静岡本店 スタッフ)

●「浜村渚の計算ノート」講談社  青柳碧人
フェルマーの最終定理などの数学的なものに興味があるので読んでいます。
(焼津谷島屋登呂田 大高)

●「おもかげ復元師」ポプラ社  笹原留似子
駅のベンチに腰かけて、「おもかげ復元師」を読んでいたら、電車を何本もやり過ごしてしまった。ページをめくるのが切なかった。涙があふれて動けなかった。うずくまって泣いた。本屋として、今、全ての日本人に読んでもらいたい一冊。決して風化させてはいけない 願いをこめて。
                                (戸田書店掛川西郷店 高木)
●「花酔ひ」文藝春秋  村山由佳
夫婦の心の中に隠された本音を痛々しいほどに描いた。ドロドロした官能が、さすが村山由佳!
(戸田書店沼津店 古屋)

●「禁断の魔術 ガリレオ8」文藝春秋  東野圭吾
いつも沈着冷静な湯川がかつての教え子のとろうとする行動に心の中で動揺する姿が今までに見せたことのないガリレオの熱い行動に手に汗にぎる物語だった。短編「猛射つ」
(戸田書店沼津店 古屋)

●「止まり木ブルース2011」リンクビットコンサルティング  塩崎利雄
1年に1度発売の同シリーズも今年で15作目。毎週の競馬に熱くなり人生を賭け続ける主人公(塩崎本人ともいわれている)も、年齢を感じさせる場面も見え始めるが、死ぬまでやる続けると思われる競馬への思いが人ごととは思えない。                   (戸田書店沼津店 古屋)

●「紙の月」角川春樹事務所  角田光代
淡々とした文章なのに、細かい心理描写で、主人公の心の動きをリアルに自分の中でトレースできる作品。人が壊れてゆくのはふとしたキッカケで、自覚の一歩手前から始まっている。
(焼津谷島屋大富店 栗山)

●「陰陽師 酔月ノ巻」文藝春秋  夢枕獏
25年続いているシリーズの最新作。平安の世に起こる不思議な出来事は、現代では何とでも説明できてしまうものなのかもしれない。気のせいで済まされるものなのかもしれない。けれど、それを不思議として受け入れた時、違う世の在りようが見えてくる。
(焼津谷島屋大富店 栗山)

●「あの日、君とGirls」集英社  あさのあつこ他
7人の作家さんによる短編集なので、一つのテーマで色々なタイプの作品が楽しめます。他関連シリーズがありますがこれはキュンと切なく、また「あの日の思い出」を懐かしみたくなる本です。
(吉見書店竜南店 川島)

●「おもかげ復元師」ポプラ社  笹原留似子
本書を読み始めた瞬間から涙があふれてしまいました。初孫の骨壺を「高い、高~い」して天国に送るおじいちゃんの光景は、かけがいのない思いの結晶です。小説ではありませんが、今年、書店員としておススメしたいのは「おもかげ復元師」です。東日本大震災を我々日本人は風化させてはいけません。
                                  (江崎書店袋井店 新村)

●「ビブリア古書堂の事件手帖3」アスキー・メディアワークス  三上延
古書をめぐり、人と人のつながりを見つめ直すことが出来る。徐々にわかってくる栞子の過去にも注目です。                                (吉見書店竜南店 林)

●「三匹のおっさん ふたたび」文藝春秋  有川浩
とても読みやすい文体で、学生から大人まで楽しめる。身近な問題が取り上げられてて、実際の自分達の身の周りを見つめ直すことが出来る一冊。               (吉見書店竜南店 林)

●「ニンジャスレイヤー ネオサイタマ炎上1」エンターブレイン  ブラッドレー・ボンド、フィリップ・N・モーゼズ
日本人だれもが衝撃をうける作品!!外国人が想像する和風ファンタジーはこうなるのか!!
(吉見書店竜南店 林)

●「最果てアーケード」講談社  小川洋子
うす暗いアーケードの中に降りてくる光のように、悲しくもほわっとあたたかいお話の数々。登場人物の一人一人のキャラクターや雰囲気がしっかりと伝わってきて、どの人にも愛しさを感じます。そうだったのか…と気付かされる結末がありつつも、ただ悲しみだけじゃないという余韻が感じられ、ほっとします。                                (谷島屋連尺店 大塚)

●「屍者の帝国」河出書房新社  伊藤計劃×円城塔
正直に告白しますが、最近あまり小説を読んでいません(ごめんなさい!)そんな私も、この本だけは外せませんでした。「伊藤計劃の未完の長編を円城塔が引き継ぐ」、この話を聞いた時から今か今かと待ちわびていた作品です。「虐殺器官」「ハーモニー」を読んだ人なら絶対必読!SFという枠に留まらない魅力が凝縮された、最高の小説です。                (戸田書店静岡本店 井谷)

●「しのぶセンセにサヨナラ』講談社  東野圭吾
ドラマ化してから1話見て、原作を読みたいと思って読んでみたら、ドラマよりも原作の方がおもしろかったです。自分が大阪のおばちゃんになった気分で感情移入しながら読んでました。
(戸田書店静岡本店 朝比奈)

●「鍵のかかった部屋」角川書店  貴志祐介
ドラマ化してから話題になって、原作を読みました。鍵に関するミステリーなので、こんな鍵で密室殺人が起こるのか…と思いながら読みました。ストーリーも手がこんでいて、読んでいるうちにのめりこみました。                           (戸田書店静岡本店 朝比奈)

●「第三の時効」集英社  横山秀夫
何と言っても登場人物が魅力的です。個性的なF県警強行犯係の面々が搦め手からカンまで持ち味を存分に発揮して事件を解決していく様は痛快です。また、キチンと裏付けのある展開、状況描写メインの硬質な文章の中で光る人間ドラマなど、「ミステリ」「警察小説」といった枠に収まらない、物語として非常に完成度の高い小説です。                   (戸田書店静岡本店 岡本)

●「屋根裏の散歩者」光文社  江戸川乱歩
ミステリものではありますが、読者には犯人も殺害方法も全く隠されることはありません。むしろ物語は犯人視点で進められ、巧みな心理描写と情景描写によって読者の感情移入先は犯人へと誘導されていきます。犯人の異常な犯罪嗜好癖ナチュラルに受け入れられるようになっている自分に気付いたとき、この小説の面白さがわかるはずです。                (戸田書店静岡本店 岡本)

●「桐島、部活やめるってよ」集英社  朝井リョウ
正直に言って、読んでいてこれほど気恥ずかしくなる小説もめずらしいです。登場人物の交錯を絶妙な距離感で表し、高校という狭い世界を自然に表現する手腕も見事ですが、何より17歳の何となく感じている思いや揺らぎをここまで言葉として表現できるのか!という驚きと当時の自分の心を浮き彫りにされたようなくすぐったさがとても気持ちのよい一冊です。
(戸田書店静岡本店 岡本)

●「空飛ぶ広報室」幻冬舎  有川浩
航空自衛隊の広報室を舞台にした物語です。本来ならば2011年夏に出版される予定だった本が、東日本大震災を受け、作者が新たなエピソードを加え、2012年に出版したということから、有川さんの作品に対する姿勢も知ることができ、より味わい深い印象をうけました。
(戸田書店リブレ菊川店 飯田)

●「残穢』新潮社  小野不由美
あんまり夜に読みたくない話ですが、夜にしか時間がないので、読むのがつらい作品でした。あとに残るこわさは最上級です。                     (戸田書店リブレ菊川店 飯田)

●「三匹のおっさんふたたび」文藝春秋  有川浩
こんなかっこいいおじいちゃんはなかなかいないと思いますが、こういう年寄りになりたいです。ドラマ化を望みます!                       (戸田書店リブレ菊川店 飯田)

●「微笑む人」実業之日本社  貫井徳郎
読み終えても、どうにも理解できず、納得も出来ませんでした。この読後感の悪さが作品の面白さだと思います。                             (アマノ三方原店 橋本)

●「Re:返信」小学館  野島伸司
野島節、とでもいうのでしょうか、どんでん返しに次ぐどんでん返しです。ジェットコースターのように二転三転し、あっという間に終わります。こちらも読後感悪しです。
(アマノ三方原店 橋本)

●「自殺の国」柳美里  河出書房新社
作者のテーマでもある「自殺」について描かれた小説です。前編通してとても息苦しい物語でしたが、それでも最後には一筋の光を感じられたような気がしました。若い方に薦めたい作品です。
(アマノ三方原店 橋本)

●「ありがとう3組」講談社  乙武洋匡
6年3組の卒業までの1年間、様々な問題を共に悩み、乗り越えていく28人の子どもたちと先生の姿に大感動しました。乙武さんにうけもってもらった子たちは幸せです。発達障害や生徒たちの抱える家庭問題等、現代の学校が真摯に向き合い、対応していかねばならない様々な課題も散りばめられています。
(吉見書店外商部 吉見)

●「K」講談社  三木卓
三木卓さんといえば静高出身で静岡市ゆかりの作家さん。アーノルド・ロベールのシリーズなど、児童文学の翻訳者としても有名です。その三木卓さんと妻の「K」さん、不思議な夫婦・家族でした。勝手で常識はずれの「K」なのに、三木さんは深くおおらかな愛で支えてきた。文章からは一貫してあたたかさが流れ、こんなにやさしい人がいるんだ…と、心身がほわっとぬくもりを感じる幸せな私小説でした。
(吉見書店外商部 吉見)

●「光圀伝」角川書店  冲方丁
「黄門様」のイメージが一変させられました。力強い文章にぐいぐいひきこまれます。少年時代のエピソードは、頭にその場面がリアルに想像できるほどすさまじく、心に迫ってきました。登場人物の描写、すばらしいです。秋の夜長、読破をおすすめします。心に残る一冊となるはずです。
(吉見書店外商部 吉見)

●「光圀伝」角川書店  冲方丁
小説の力、物語の力を強く感じました。史実がどうのこうではなく、作者の力量なのでしょう。歴史を読む楽しみがまたひとつ。                       (アマノ三方原店 山﨑)

●「64」文藝春秋  横山秀夫
著者7年間の苦悩が凝縮されたような作品。一気に読みとおしました。   (アマノ三方原店 山﨑)

●「球界消滅」文藝春秋  本城雅人
野球ファンならずともスリリングでおもしろい。            (アマノ三方原店 山﨑)

●「タビロック」中央公論新社  ひー&ぐーすか
店にアルバイトにきている学生達には、一度でいいので、旅に出ろ!とよく言っているのですが(特に男子!)僕の言葉はなかなかそのきっかけにはならないようです。「どこにでもいるような若者(この著者夫婦はそんなに若くはないですが)が、ふとしたきっかけで世界一周の旅に出る」と、言葉にしてしまえばとても簡単なのですが、そこにはたぶん、ふとしたどころかかなりの勇気、というか、思い切りが必要であろうと思います。リスクが現実になってしまった著者の本をあえて薦めるのも、闇雲なまでの衝動に駆られて一歩踏み出すのと同時に、旅におけるリスク管理の大切さを知ってほしいからです。旅に限らず、何かの本がきっかけで、一生の財産になるような経験をする、というのは、とても素敵なことだと思うのです。そして、そんな本を、書店員としてはお薦めしたいのです。この本が多くの人のふとしたきっかけになってくれることを願います。その気になれば、たぶんどこまででもいける。
(アマノ入野店 松本)

●「沈没ホテルとカオスすぎる仲間たち」廣済堂出版  七尾与史
静岡書店大賞だから地元作家さんを、という気持ちも確かにあります。でも、やっぱり、もっとたくさんのお客様に知って欲しいとも思うのです。そして、読んでいただきたいと思うのです。ただ、贔屓目という意味では、カオサン、沈没、トゥクトゥク、などといった、バックパッカーなら誰もが反応してしまうであろう言葉にあるかもしれません。いそう、ありそう、(沈没ホテル、というか、それっぽい人たちが集まっている宿は、確かにあったなあ)な物語です(笑)。
(アマノ入野店 松本)

●「ユダの覚醒」竹書房  ジェームズ・ロリンズ
シグマフォースシリーズ第三弾。キリスト教やそれに関する文化をバックボーンに毎回重厚なストーリーが展開します。歴史・科学などの知識もチラホラと重要な要素になったりして、思わず勉強したくなっちゃいます。                            (アマノ入野店 松本)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
自分の住んでいる町が舞台になっていて、知っている場所の名称が出てくるたびにわくわくします。
(マルサン書店 芹澤)

●「種のキモチ」文芸社  山田悠介
私は山田悠介さんの作品が大好きで、よく読みますが、今回の作品は今までの作品とは一味違い、感動を交えた不思議な物語でした。                      (マルサン書店 芹澤)

●「悪夢のエレベーター」幻冬舎  木下半太
物語の最後には、どんでん返しもあり、(次はどうなるんだろう…)と、とてもハラハラさせられる一冊でした。                               (マルサン書店 芹澤)

●「本ボシ」講談社  曽根圭介
沼津近辺を舞台に、女性殺害事件の捜査が行われる。必死の捜査の結果、容疑者が浮かぶものの、別の事件が判明していく。刑事たちの気迫から目が離せません。
(マルサン書店イシバシプラザ店 稲穂)

●「光圀伝」角川書店  冲方丁
「天地明察」とは対極的なエンタテイメント性が感じられる。水戸の黄門様がこんなに血気あふれる人物だったとは!                     (マルサン書店イシバシプラザ店 稲穂)

●「残穢」新潮社  小野不由美
あるマンションで起こる不思議な現象。過去をさかのぼるとある因縁にたどりつく。あなたの家はどうですか?                       (マルサン書店イシバシプラザ店 稲穂)

●「あなたへ」幻冬舎 森沢明夫
今年映画化、高倉健主演で上映された作品です。亡き妻洋子のふるさと長崎平戸へ散骨しに1人車を運転して妻を想いながら旅する作品です。寡黙で真面目な男が途中で出会う人々との珍道中あり、感動ありで、良い作品です。映画を観てから作品を読むも良し、本を読んで映画を観るも良し。自分が高倉健になった気分で読んでみてはいかがでしょうか。独身者も必見です。心が穏やかになりますよ。
(戸田書店富士宮店 スタッフ)

●「陽だまりの彼女」新潮社  越谷オサム
気恥ずかしくなるほど可愛らしい恋愛ファンタジーに、ラスト・オチもあり、詳細解説は禁止モノです。頼りないサラリーマン主人公がキュンとなるような恋愛ストーリーと共に憂いを帯びた大人の男性に変身していきます。                            (江崎書店 山口)

●「張り込み姫 君たちに明日はない3」新潮社  垣根涼介
軽薄才子ながらシリーズを重ねるごとに単なるリストラ・プロフェッショナルを脱却していく掌編集です。                                    (江崎書店 山口)

●「白ゆき姫殺人事件」集英社  湊かなえ
湊かなえさんの小説は独白で語られていくので登場人物の心理描写に感情移入しやすく、読者を引き込む力があります。トリックやどんでん返しはあまりなくても、読後の余韻が残るというか。
(江崎書店 牧野)

●「ビブリア古書堂の事件手帖」アスキー・メディアワークス  三上延
古書の内容および古書の持ち主の過去から解きあかされる、さまざまな謎。思わずページを閉じられなくなる、ライトミステリー。                        (江崎書店 田中)

●「ビブリア古書堂の事件手帖③栞子さんと消えない絆」アスキー・メディアワークス  三上延
ビブリア古書堂シリーズの3巻目で、古書の謎や古書に関係している人達の謎を栞子さんが見事な推理力で解いていく物語です。この本を読むことによってもっと本のことを好きになることができ、他の本も読んでみたいと思わせる作品です。こんなきれいで素敵な女店主さんに会ってみたいです!!
(江崎書店小鹿店 天野)

●「珈琲店タレーランの事件簿」宝島社  岡崎琢磨
バリスタである切間美星は鋭い観察力を持っていて身近な謎を解決していくのがとてもおもしろいです。京都が舞台なので、京都が好きな人も読んでいるとおもしろいと感じられるともいます。
(江崎書店小鹿店 天野)

●「楽園のカンヴァス」新潮社  原田マハ
一枚の絵画をとおして、美しい絵画の世界とそれに関わった人間たちの情熱、そしてその絵画の謎解き後の感動のラストシーンは心に残りました。
(江崎書店小鹿店 川口)

●「ロスジェネの逆襲」ダイヤモンド社  池井戸潤
週刊ダイヤモンド連載中、毎週楽しみにしていました。単行本が出て読み返しました。次どうなるか気になるストーリーと、登場人物が魅力的でまさにエンタテイメント企業小説です。
(江崎書店小鹿店 川口)

●「ケルベロスの肖像」宝島社  海堂尊
氏の代表作「バチスタ」シリーズの完結篇にあたる作品。もう一度シリーズ全巻を読むことをオススメします。                              (江崎書店小鹿店 川口)

●「境界線上のホライゾン」アスキー・メディアワークス  川上稔
2011年10月~12月、2012年7月~9月と2期にわたってアニメ化された作品です。何といっても一番の特徴は厚さ!!2巻(下)では1冊1154ページとなりました。何故そこまで厚いのかと言うと、非常に細かなところまで設定を作っているからです。厚みに見合うだけの作りこまれた設定は一見の価値ありです!!                              (吉見書店長田店 鈴木)

●「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。」富士見書房  左京潤
お勧めしたい理由は面白い作品ということもありますが、珍しい静岡在住のライトノベル作家さんだからです。静岡のライトノベル作家が増えることを願いつつお勧めの1冊とさせていただきます。
(吉見書店長田店 鈴木)

●「人類は衰退しました」小学館  田中ロミオ
人類が衰退して数世紀が経った世界での少女と妖精の交流を描いた作品です。ほのぼのとした世界観の作品ですが、時々出てくるブラックな展開がアクセントとなりとても面白い作品です。
(吉見書店長田店 鈴木)

●「ももへの手紙」角川書店  百瀬しのぶ
先に映画を見ましたが、心に響く家族の愛の物語でとても感動しました。ストーリーも、空からおちてきた妖怪など、ちょっとファンタジーっぽくておもしろいです。
(吉見書店竜南店 登崎)

●「清須会議」幻冬舎  三谷幸喜
歴史が苦手な自分でも読めた。歴史的な知識がなくても理解できたし、本編中の会話が今風の“しゃべり言葉”で書かれているので重要な会議なんだけど、どこか軽く(?)感じてしまうのもおもしろかった。                               (江崎書店袋井店 スタッフ)

●「虚像の道化師」文藝春秋  東野圭吾
ドラマから入ったので、キャストを思い浮かべながら読んだ。短編集なので長編のようにじっくりというわけではないが、読みやすかった。                (江崎書店袋井店 スタッフ)

●「パラダイス・ロスト」角川書店  柳広司
「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」につづくシリーズ第3作。あいかわらずハラハラドキドキの展開がたのしめます。                     (江崎書店袋井店 スタッフ)

●「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」文藝春秋  酒見賢一
第1部、第2部でもすごくうざったい孔明だったのですが…今回もすごくうざい。呉の周瑜と渡り合うのですが、周瑜もイライラしっぱなし。読んでる私(呉軍好き)もイライラしっぱなし。でも、すごく新しいです、この三国志。                    (江崎書店袋井店 スタッフ)

●「骸骨を乞う 彩雲国秘抄」角川書店 雪乃紗衣
シリーズ最後の本。ティーンズ文庫から単行本に変わった理由は読めばわかる。本編ではわからなかった主人公と敵対する人物たちの話はオススメ。彼らがぐっと好きになる。
(江崎書店袋井店 スタッフ)

●「勇者互助組合 交流型掲示板」アルファポリス  おけむら
某電車男と同じ形態の本。ゲーム好きは面白おかしく読める。某掲示板をのぞいている人もOK。楽しく読みすすむなか考えさせられる話も。「よいか、これはげえむではない。よいか、これはげえむではないのじゃ」大事なことです、2回いいました。           (江崎書店袋井店 スタッフ)

●「ひなこまち」新潮社  畠中恵
若だんなと妖たちのやりとりはいつ見てもおもしろい。むしろうらやましい?続きが読みたくてしかたがない!そんなシリーズの最新刊。どんな人にも安心してすすめられる本。
(江崎書店袋井店 スタッフ)

●「邪馬台」新潮社  北森鴻、浅野里沙子
作者が連載中に急逝したのが残念です。本が出版されて良かった。邪馬台国とは何か、という問いに作者ならではの答えがおもしろかったです。なるほど~と思いました。
(戸田書店富士宮店 石川)

●「氷平線」文藝春秋  桜木紫乃
自分がその年齢になって初めて分かるその小説の色、リズム、風景、においがあると思います。大人の小説です。                           (太輝音ベルシティ店 杉山)

●「わたしがいなかった街で」新潮社  柴崎友香
小説の技法としての上手さが話題にもなっていますが、気持ちよく考えながら読める小説が最近少なくなりました。そういった面で私には気持ちよく読めた小説でした。
(太輝音ベルシティ店 杉山)

●「信長死すべし」角川書店  山本兼一
「本能寺の変」の物語を、信長をよく思わない正親町帝ら朝廷側と、朝廷と信長の間で板ばさみになる明智光秀、そして織田勢のそれぞれの思惑・言動がとても奥深く書かれている作品。明智光秀が織田信長を討ちにいった理由が、未だに解明していないのだが、この作品のような展開で「本能寺の変」は進んでいったのではないか?と思ってしまいます。この作品の信長は魔王のごとく怖いです。
(谷島屋イオンモール店 松下)

●「金ヶ崎の四人」毎日新聞社  鈴木輝一郎
浅井長政にうらぎられて、絶体絶命、窮地に陥った織田信長・木下秀吉・明智光秀・徳川家康という名のある四将のあわてふためきっぷりが実におもしろい。信長・秀吉の尾張訛りなど戦国ことばによる会話や、パニックをおこしての思慮浅い行動などはコミカルで、なんだか今風の小説のように軽快だった。
(谷島屋イオンモール店 松下)

●「翔る合戦屋」双葉社  北沢秋
「哄う合戦屋」「奔る合戦屋」に続く三部作。武田信玄の若かりし頃の中信濃を舞台に、架空人物の石堂一徹という1人の合戦屋(小豪族遠藤家に仕える)が、知恵と武をもって天下をめざしていく物語。名だたる武将たちを策をもってだしぬいたり、みごとな槍さばきで敵を圧倒していく展開は、読んでいてスカッとするし、遠藤家の娘・若菜を深く想う気持ちはとてもせつなく、心打たれてしまいます。
(谷島屋イオンモール店 松下)

●「百年法 上・下」角川書店  山田宗樹
上・下巻ですが一気読みの面白さでした。今の政治家に読ませたいNo.1本。
(谷島屋イオンモール店 寺田)

●「ラバー・ソウル」講談社  井上夢人
一筋縄ではいかない井上夢人。この本でもやってくれました!あの結末には驚くばかり。
(谷島屋イオンモール店 寺田)

●「廃工場のティンカー・ベル」講談社  永嶋恵美
決して超ハッピーエンドというわけではないのですが、希望を残す終わり方に心が前向きになる小説です。                             (谷島屋イオンモール店 寺田)

●「P.K.」講談社  伊坂幸太郎
知らず知らず大きな流れの中に…。すべてはつながっている。   (谷島屋イオンモール店 新井)

●「夜の国のクーパー」東京創元社  伊坂幸太郎
ラスト前のネタバラシは正直なんじゃそりゃ?ただそれほど嫌じゃない。
(谷島屋イオンモール店 新井)

●「ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと」ソフトバンククリエイティブ  鎌田洋
物語を読んでサービスが学べちゃうすぐれものだから。
(谷島屋イオンモール店 新井)

●「簡単なアンケートです」角川書店  鎌池和馬
ライトノベルの中ではこれ!                  (谷島屋イオンモール店 宮沢)

●「質草破り」講談社 田牧大和
シリーズ2作目、登場人物も成長していて、次作が待たれる。  (谷島屋イオンモール店 スタッフ)

●「じゃあじゃあびりびり」偕成社  まついのりこ
赤ちゃんのために作られた本。赤ちゃんの周りにある音、はっきりとした絵・あざやかな色彩で目と耳の両方から入ってきます。この本を手離さない赤ちゃんもいるよう。書店員として、産まれた子には是非読ませたい。                            (谷島屋外商部 伊藤)

●「本屋さんで待ちあわせ」大和書房  三浦しをん
書評を読んで笑ってしまいます。ステキな本に巡りあえる本です。この本を読んで、本が読みたくなってしまいます。好奇心やワクワクする気持ちを引き出してしまう、とても魅力的な作品です。
(谷島屋 スタッフ)

●「限界集落株式会社」小学館  黒野伸一
過疎地域活性化の話です。静岡にも同じようにがんばっている人々がいるのではないでしょうか。
(戸田書店藤枝東店 良知)

●「64」文藝春秋  横山秀夫
読みごたえありです。                       (戸田書店藤枝東店 良知)

●「震える牛」小学館  相場英雄
「安さ」の追求、そのためにどんな事がおこっているのか、恐くなります。
(戸田書店藤枝東店 良知)

●「ジョン万次郎」集英社  マーギー・プロイス
アメリカ東部に暮らした初めての日本人、ジョン万次郎の青春。全米の小中学校で話題にもなり、来年の課題図書に選ばれること間違いなし!
(谷島屋サンストリート浜北店 芝吹)

●「十二単衣を着た悪魔」幻冬舎  内館牧子
男と女の愛憎。時代を越えても変わらぬセクシーの中にある魂の叫び。とにかく面白い。
(谷島屋サンストリート浜北店 芝吹)

●『私のいない高校』講談社  青木淳悟
一人の留学生を受け入れた私立高校の一学期を描く、といった内容より、特定の主人公や語り手を置かずに視点をずらしていく手法がすごい。所謂三人称小説でもなく、主人公の内面や心理描写を排し、人の外で起きる出来事や情報だけで小説にしてしまう凄さ。といって実験的な手法だけが問題なのではなく、そこかよ、といった視点やことばの選び方も含めて面白い。小説的ではないという「反」近代小説ながら、紛れもなく小説、文学の面白さがあります。
                               (戸田書店リブレ裾野店 海福)

●『雲をつかむ話』講談社  多和田葉子
「人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろう」何人もの犯人と、かつて犯罪を犯した者や、あのとき出会ったあの人が実は、といった出会いを「わたし」のなかで繰り返す。ことばというものが自分の中で繰り返されるたびに、ことばを費やせば費やすほど、ふわふわと雲のように捉えどころがないものになっていく。わかりやすい「物語」ではないが、ことばを扱う「小説」世界にどっぷり浸かれます。
                               (戸田書店リブレ裾野店 海福)
●『わたしがいなかった街で』新潮社  柴原友香
「わたしがいなかったあのときあのまちで生きている人がいた」当たり前の話だが、世の中人類の滅亡をかけて戦ったり、そこまでいかなくても「自分」の内面を描く小説や映画が多いのは、「自分」の価値が多すぎるから。戦争ドキュメンタリーを見ることでそこで生き、死んでしまった人たちとの距離をはかり、思う事は「私が死んでも世界は続く」という、これまた当たり前ながらなかなか得がたい思想に繋がる。世界を肯定する小説です。
                                (戸田書店リブレ裾野店 海福)
●『屍者の帝国』河出書房新社  伊藤計劃×円城塔
正直に告白しますが、最近あまり小説を読んでいません(ごめんなさい!)そんな私も、この本だけは外せませんでした。「伊藤計劃の未完の長編を円城塔が引き継ぐ」この話を聞いたときから今か今かと待ちわびていた作品です。「虐殺器官」「ハーモニー」を読んだ人なら絶対必読!SFという枠に留まらない魅力が凝縮された最高の小説です。
                                  (戸田書店静岡本店 井谷)
●『謎解きはディナーのあとで2』小学館  東川篤哉
相変わらずの慇懃無礼・毒舌執事とお嬢様の掛け合いが面白いです。
                                  (吉見書店竜南店 見城)
●『生きる悪知恵』文藝春秋  西原理恵子
仕事、家事、人付き合いでストレスがたまったときこれを読むとなんだかスッキリしてしまいます!
                                  (吉見書店竜南店 内野)
●『三匹のおっさん ふたたび』文藝春秋  有川浩
こんな“おっさん”近所にいたらいいなぁ~ご近所トラブルは女の人だけに任せちゃいけない!!
                                  (吉見書店竜南店 内野)
●『さくら』金の星社  馬場国敏
原発被災地に残された犬たちはどうしていたのでしょうか・・・。被災したのは人間だけではありません。2012年になっても売れ続けている本です。
                                  (吉見書店竜南店 内野)
●『バチカン奇跡調査官~ラプラスの悪魔』角川書店  藤木稟
藤木さんのバチカンシリーズの第6作目。カソリックのバチカンより指令を受け、奇跡の調査をする二人の神父の活躍が面白い。一人は科学調査、一人は暗号を読み解くスペシャリスト。壮大なスケールのどんでん返しなどなど最高です。
                                  (吉見書店外商部 手塚)
●『戦都の陰陽師』角川書店  武内涼
安倍晴明の末裔の土御門家のお姫様光子が大変な事件と対峙する。土御門家の正統だけが扱える魔剣を出雲へ取りに向かう。守るは七人の伊賀忍者。魔剣を狙う毛利軍勢などなどが怒涛の追撃。手に汗握る攻防戦!!
                                  (吉見書店外商部 手塚)
●『俺に似たひと』医学書院  平川克美
「介護」人事ではありません。親は大丈夫と思っていたら、一つ一つ忘れて行き、知らない人になって行く。自分の為に読む本です。参考になればと思います。
                                  (吉見書店外商部 戸崎)
●『東大生だけが知っている「やる気スイッチ」の魔法』主婦の友社  岡田真波
現役東大生が挫折したときの立ち直り方、軌道修正の仕方、モチベーションの上げ方を紹介した本です。日常生活の中にそのヒントがあり、行動をおこし心を整えていく本です。
                                  (吉見書店外商部 戸崎)
●『ベイリー大好き』小学館  岩貞るみこ
「セラピードッグ」初めて知りました。親もとを離れて治療する子ども達、淋しく、つらく、不安でいっぱい!!癒してくれる犬、胸が熱くなる本です。
                                  (吉見書店外商部 戸崎)
●『生きる悪知恵』文藝春秋  西原理恵子
とても気持ちのいい本です。読んだ後のこの爽快感ときたら!今まで悩みに応える本は山ほど出ていましたが、こんなにスパッと頭の中がパーっと青空が広がるような解答に出会ったのは初めてです。この一冊で西原節にすっかりはまりました。生きる悪知恵、いえいえ、生きるバイブルです。
                                  (吉見書店外商部 西谷)
●『ルポ良心と義務』岩波書店  田中伸尚
オリンピック、サッカーワールドカップ・・・国歌が流れると隣同士肩を組み大きな声で歌う。ああ、日本人だと思う瞬間。けれど教育の現場で、教師たち生徒たちがこんなに悩み考え苦しみ闘っていたとは知りませんでした。日本はどこにむかっていくのか考えさせられた一冊です。
                                  (吉見書店外商部 西谷)
●『屍者の帝国』河出書房新社  伊藤計劃×円城塔
重厚な世界観と人間の意識に切り込む両氏の考察に裏打ちされた一大エンターテイメント。シャーロックホームズのワトソンをはじめ、カラマーゾフの兄弟のアリョーシャや未来のイヴのハダリーなど、名作文学から集った登場人物たちが織り成す冒険譚はSFとしてはもちろん、アクションあり、ミステリあり、ロマンスあり、時にはユーモアありでSFが苦手な方でも十分楽しめる一冊。日本人初のP・Kディック特別受賞作家と異彩を放つ個性派芥川賞作家、盟友でもある2人の共著ということで、両氏のファンなら更にそれぞれの“らしさ”を楽しめて一冊で二度三度おいしい。
                                  (江崎書店袋井店 大場)
●『千年ジュリエット』角川書店  初野晴
静岡県立清水南高校の吹奏楽部を舞台に、個性的なキャラクター(主に変人)達が繰り広げる学園ミステリシリーズ第四作。ミステリとはいっても殺人などは起こらず学校生活で起こる様々な事件を解決しながら清水南高吹奏楽部が成長していくストーリーは、コミカルでありながら骨太なつくりで読み応え十分。四編収録のうち表題作「千年ジュリエット」は意外な結末に感動。一番オススメです。ちなみに著者の初野晴先生は静岡出身で今も県内の会社に勤める兼業作家だとか。
                                  (江崎書店袋井店 大場)
●『トネイロ会の非殺人事件』光文社  小川一水
ハードSF作家:小川一水初のミステリ短編集。SFとしてもミステリとしても、どちらも苦手な方でも小川一水らしい優しい物語を楽しんでもらえると思います。特に代表作は、謎解きどんでん返しで素直に楽しめる一遍。
                                  (江崎書店袋井店 大場)
●『影法師』講談社  百田尚樹
百田さんの作品は好きですが、その中でもこの作品が一番好きです。読み始めるとやめられなくなり、最後まで一気に読んでしまいました。誰にでもオススメできる切なく感動できる名作です。
                                 (マルサン書店駅北店 桐下)
●『モンスター』幻冬舎  百田尚樹
「モンスター」と呼ばれた女性が整形を繰り返し、美しく変身するのですが、彼女は幸せだったのでしょうか?美容整形の世界もくわしく書いてあり、恐ろしい内容にびっくりでした。
                                 (マルサン書店駅北店 桐下)
●『放蕩記』集英社  村山由佳
母親という存在について悩まずにはいられない人なら手にとって読んで欲しい作です。
                                 (マルサン書店駅北店 桐下)
●『影法師』講談社  百田尚樹
今までに読んだ日本の小説ベスト10にランクインしています。若い頃の出逢いから、ラストの風景まで、立場や身分が変わっても顔をあわせることがなくなっても貫く友情、泣きます。どの世代のどんな人が読んでも泣きます。
                                 (マルサン書店駅北店 出山)
●『百年法』角川書店  山田宗樹
上巻を読んだ時は、侮っていました。下巻からすごく面白い!です。第二次世界大戦で“原爆が六発落とされた衰退した日本”が舞台のパラレルワールド近未来SF的小説なのだけれどラストに向かってだんだん現在の日本とシンクロしてくるように思える考えさせられる一冊です。
                                 (マルサン書店駅北店 出山)
●『レディ・マドンナ~東京バンドワゴン』集英社  小路幸也
文句なしの楽しさは、あたりまえ。シリーズがもっとずっと続いて欲しいです。でも、マイブルーヘブンの直の続きを絶対書いて欲しいです。一年に一冊の小路さんからのプレゼントを待ってます。
                                 (マルサン書店駅北店 出山)
●『魔法使いは完全犯罪の夢をみるか?』文藝春秋  東川篤哉
大変読みやすく、ユーモアあふれるミステリー作品なので、少し時間の空いた時に読めてしまいます。多くの方にオススメの作品です。
                               (戸田書店リブレ菊川店 横山)
●『悲鳴伝』講談社  西尾維新
西尾維新の初期作品に近い独特な物語です。流行の物語シリーズも面白いのですが、西尾ファンにもそうでない多くのみなさんに是非読んで貰いたい作品です。
                               (戸田書店リブレ菊川店 横山)
●『くちびるに歌を』小学館  中田永一
なつかしい感いっぱいで、昔を思い出しながら読めました。“一生懸命”がぴったりな時代。“頑張り”にウルウルします!!
                               (戸田書店掛川西郷店 中村)
●『起終点駅~ターミナル』小学館  桜木紫乃
社会から少し外れている・・・孤独感はあるのだけれど絶対ありえないという話でもない。誰にでもありえる話で、だから少しせつない。だから頑張ろう!!とはならず、ただ、たんたんと明日に生きていく・・・。ただ最後に明日はいい日だと思いなぁと・・・。
                               (戸田書店掛川西郷店 中村)
●『戦都の陰陽師』角川書店  武内涼
時代物好きにはたまらない、陰陽師と忍者をリセットするというウルトラCをやってのけてくれた。妖怪大戦争ばりのアクションと忍たちの必殺仕事人っぷりはハリウッドなみの爽快感。風景描写は戦国らしい土臭さがあり、庶民目線なのも地に足がついて非常にリアル。歴史×戦国×忍者×アクション×ファンタジー×恋愛の三三七拍子そろった一口で何度もおいしいエンターテイメント小説。老若男女にオススメしたい奇作。
                               (戸田書店掛川西郷店 山崎)
●『望月のあと「覚書源氏物語若菜」』東京創元社  森谷明子
学生時代、古典の授業前に読みたかった・・・。平安の女性たちがどんなふうに生きて、「源氏物語」をどんな思いで読んでいたか。これが真実なんじゃないかと思えるくらい作者の解釈の説得力にただただ脱帽。児童書のような読み易さと切なくも爽やかな読後感が魅力。氏の描く女性はどれも瑞々しく、同姓は共感しやすいのでは。ので、特に女性にオススメしたい。
                               (戸田書店掛川西郷店 山崎)
●『泣き虫諸葛孔明 第三部』文藝春秋  酒見賢一
キャラ小説全盛の昨今。キャラのおもしろさを追及した最笑三国志にこれをしのぐものはない。主人公の諸葛亮からして「臥竜計画」に邁進する変態腐れ外道の宇宙人(エイリアンではなく電波系)という設定。これだけですでに笑える。そのくせ、重厚なウンチク部分もあったりして、振り幅がハンパない。シリーズ三作目にしてハイライトの赤壁の戦いに。良くも悪くも突き抜けた豪傑たちがいかに戦うか、今後も楽しみでならない小説(?)。
                               (戸田書店掛川西郷店 山崎)
●『本ボシ』講談社 曽根圭介
地元が舞台の作品なので応援しています。内容は幼女誘拐殺人とあまり人にすすめられるものではないかもしれませんが、被害者遺族でもある主人公の苦悩、犯人逮捕に向ける意志など読みごたえも十分の作品です。
                               (マルサン書店駅北店 川口慶)
●『清須会議』幻冬舎 三谷幸喜
信長亡き後、日本の命運を決める天下分け目の跡目争い!「現代語訳」となっていますが、訳者は三谷幸喜。当然ただの訳なわけがない。さあ、歴史を動かす会議の開演です。
                               (マルサン書店駅北店 川口慶)
●『空飛ぶ広報室』有川浩 幻冬舎
知らなかった航空自衛隊を判ったつもりになれる楽しい話でした。浜松基地も身近に感じられます。
(谷島屋浜松本店 藤田)

●『桜大の不思議の森』香月日輪  徳間書店
古き良き日本の田舎がここに。                    (谷島屋浜松本店 藤田)

●『詐騎士』かいとーこ  アルファポリス
気分転換に最高。                           (谷島屋浜松本店 藤田)

●『晴天の迷いクジラ』窪美澄  新潮社
話に重みがあって、ぐいぐい引き込まれました。年齢も境遇も違う人間がひとつにつながっていく時に鳥肌が立ちました。彼ら、彼女らのこれからが良いものになりますように、と願ってやみません。
(谷島屋浜松本店 前嶋)

●『森崎書店の日々 続』八木沢里志  小学館
心があたたまるお話でした。人と人の交流って、大切だな、と思います。1人で生きているようで、実は誰かが必ずどこかで自分を支えてくれているんだと実感。もちろん、いろいろな本(物語)の紹介もちらほらとあるのもうれしい1冊。主人公をとりまく人達のキャラクターもインパクトあります。
(谷島屋浜松本店 前嶋)

●『新しい靴を買わなくちゃ』北川悦吏子  幻冬舎
パリを舞台に、パスポートが破れた男とヒールの折れた女が出会うお話です。夢のような3日間の物語で、うっとりしてしまいました。それぞれにかかえている傷や悩みを打ち明けるシーンは切なくなります。読んでいて情景が頭に浮かんでくるもの素敵なところ。女性にとっては憧れのシチュエーションにドキドキします!かわいい著者の世界が好きで、何度も読み返してしまっています。女性の気持ちを知りたい男性にもおすすめかもです。                   (谷島屋浜松本店 前嶋)

●『残穢』小野不由美  新潮社
読んでいる途中、読み終わった後、その本を本棚に置いておくのも怖いくらい怖い本でした。今も本棚の一番後ろの奥に置いてあります。                  (谷島屋浜松本店 坪井)

●『鍵のない夢を見る』辻村深月  文藝春秋
5話すべて自分にも、自分の周辺でも起こりそうな話で、それも「後味の悪い」出来事の話で、読んでいる時はその話の中に入ってしまっているので、なんとも…なんとも「そんな人生いやだ…」という気になった。                             (谷島屋浜松本店 坪井)

●『桜大の不思議の森』香月日輪  徳間書店
四季折々の自然の美しさを感じます。その中にある神や不思議な存在との出会いに子供の気持ちを思い出し、優しい気持ちになれる1冊です。
(村上書店下田とうきゅう店 桜田)

●『鍵のない夢を見る』辻村深月  文藝春秋
日常からふっと足を踏み外してしまうような危うさが痛みとともに描かれています。同じ著者で他にも好きな作品がありますが、期間から外れてしまうので、とりあえず入口の1冊としてすすめたいです。
(村上書店下田とうきゅう店 桜田)

●『残穢』小野不由美  新潮社
淡々とした語り口なのに、背すじがひやりとするような恐怖を楽しめます。
(村上書店下田とうきゅう店 桜田)

●『姫は、三十一』風野真知雄  角川文庫
単純に面白い。疲れていてもスッと読める読みやすさが好き!!
(谷島屋サンストリート浜北店 牧田)

●『謎解きはディナーのあとで②』東川篤哉  小学館
最初は「こんなんでいいの?」と思って読んでいたのにすっかりはまって2巻目も…何だか読んでしまう面白さ!!                        (谷島屋サンストリート店 牧田)

●『ビブリア古書堂の事件手帖③』三上延  アスキーメディアワークス
謎の美人がいる古書店、ミステリアスな話が短篇でいくつも入っているので飽きずに読めます。
(谷島屋サンストリート店 牧田)

●『君と一緒に生きよう』森絵都  文藝春秋
ペットショップ以外にも飼い主を待っている犬がいるということをたくさんの人に知ってもらいたいのでぜひこの本を読んでほしいです。犬を救おうとする人々と飼い主のいない犬のノンフィクションストーリー。少し薄い文庫本なので通勤・通学の時に持ち運びやすく、読みやすいのでぜひぜひ書店で手にとってほしいです。                        (戸田書店沼津店 鈴木)

●『ノエル』道尾秀介  新潮社
道尾秀介さんは“カラスの親指”や“向日葵の咲かない夏”で有名なミステリー作家さん。ですが、この作品は今までにないような心あたたまるストーリー。道尾さんの作品は今まで読んだことがなく、この作品はテレビで紹介されたのを機に手にしたのですが、とてもおもしろかったです。物語の中に絵本が出てくるのですが、3つの主人公達の物語自体が絵本のようでした。
(戸田書店沼津店 鈴木)

●『しあわせのぱん』三島有紀子  ポプラ社
ちょっと変わった夫婦のパンカフェにおとずれる人々との日常や小さな事件。ほっこりとした優しさと、なぜかもの悲しさを感じる作品。人生のどうしようもないことを心にかかえているなんてことは誰にでもあてはまることだけど、この本を読んでホッと一息つけば、「うん。大丈夫」ってわらえます。
(谷島屋高松店 生沢)

●『花守り鬼』小松エメル  ポプラ社
人嫌い、ぶっきらぼうな喜蔵と、明朗で小生意気、活発な少年(?)小春の凸凹コンビの織りなす明治人情妖怪奇譚シリーズ第三弾。今作は二人とその周囲の人達にもスポットが当てられ、より世界観に深みが増した、笑って泣いて、読了後にはほんのり胸が温かくなるような1冊です。
(谷島屋富士宮店 佐野)

●『夜宵』柴村仁  講談社
手に入らないものがない、と云われる「細蟹の市」で、人々の本音、本心が交じり合うホラーのようなファンタジーのような不思議な1冊。本当に欲しいと思うものは果たして手に入れて良いものなのか?そもそも欲しいものとは、望むものとは何なのか、小さな世界の中で繰り広げられるストーリーと共に、考えさせられる1冊です。                      (谷島屋富士宮店 佐野)

●『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』大沼紀子  ポプラ社
シリーズ第二作目となる本作です。読んでいるとパンが食べたくなる、思わずパン屋に走ってしまいそうになるくらい、作中に出てくるパンが美味しそうです!こんなパン屋さんがあったら行ってみたい、個性的な人達の織りなす味わい深い1冊です。
(谷島屋富士宮店 佐野)

●『ナミヤ雑貨店の奇跡』東野圭吾  角川書店
時代を越えた人と人とのつながりに心温まり、感動します。読んだ後すがすがしい気持ちになりました。読みやすいところもよかったです。                (谷島屋富士宮店 スタッフ)

●『一刀流無想剣斬』月村了衛  講談社
主人公がいわゆる「さわやかなヒーロー」ではなく、口は悪いし、どこか影があります。とてつもなく強いのですが、逃げもするし、敵に斬られもします。そんな主人公に惹かれ、最後に明かされた秘密に驚かされました。とにかく展開がはやいです。
(谷島屋富士宮店 スタッフ)

●『楽園のカンヴァス』原田マハ  新潮社
アンリルソーの大作の真贋をめぐり、2人の研究者が対峙する。2人の駆け引きや、ヒントとしての古書からうかがえるルソーを囲む人々の愛情、そして作品の持主の大富豪の心情など心温まる感も有り、ミステリーとしてもおもしろいです。                 (谷島屋浜松本店 清水)

●『親鸞 激動篇 上・下』五木寛之  講談社
さまざまな動きに巻き込まれながらも、自分の信じる物の為、また、人々の為、自分とも闘い、また人との出会い別れ等により、親鸞として、高みにのぼっていくさまが、おもしろい。
(谷島屋浜松本店 清水)

●『日御子』帚木蓬生  講談社
倭の国から、漢の国へ、朝貢に旅立つ。往復一年もの時をかけ、はじめて目にするすすんだ漢の国の文化、広大な国土。古代の地を、時を越えて共に旅をしているようです。
(谷島屋浜松本店 清水)

●『濡れた太陽 上・下』前田司郎  朝日新聞出版
世間一般の言う「青春」というイメージからはややズレているような、それでいておそらく「青春」には欠かせないであろう無謀さ、自意識、痛々しさに満ちた前田司郎式青春小説。主人公たちの危なっかしさや自意識過剰ぶりが見てられない…と思いつつぐいぐい引き込まれ、不思議と読後感が良い。
(谷島屋浜松本店 永山)

●『晴天の迷いクジラ』窪美澄  新潮社
それぞれの抱える問題は比べるようなものでもないし、はっきりとした形で解決してもいない。それでも生きてさえいれば、たとえ最良の方向でなくてもどこかに転がっていける。そのちょっと先の光を思わせてくれる。                           (谷島屋浜松本店 永山)

●『楽園のカンヴァス』原田マハ  新潮社
ルソーの絵を2人の研究者が鑑定する絵画ミステリー。著者自身もニューヨーク近代美術館に勤めたキュレーターでもあるので、描写がおもしろい。絵画に興味がない人でも楽しめる1冊です。絵の世界にひき込まれます。                            (谷島屋 スタッフ)

●『幸せの条件』誉田哲也  中央公論新社
24歳OLが仕事で農業体験していくうちに成長していく姿がよく描かれている。警察小説とはまた一味違ったほのぼのとした作品になっている。                  (谷島屋 スタッフ)

●『夏天の虹』高田郁  角川春樹事務所
みをつくし料理帖の最新刊。回を追うごとに面白くなっていきます。特に最後のシーンでは涙がとまりませんでした。これからどうなっていくのかますます楽しみです。
(谷島屋 スタッフ)

●『カマラとアマラの丘』初野晴  講談社
ペットの死をテーマにした連作ミステリー。動物と人間のさまざまな絆のあり方が描かれていて、中にはエッと驚くようなものも。ドンデン返しもあって読み応えがあります。著者は静岡県出身です。
(谷島屋 スタッフ)

●『ぶたぶたカフェ』矢崎ありみ  光文社
登場する料理がとても美味しそう&ぬいぐるみ店長(?)の山崎ぶたぶたさんに癒されます。長期シリーズの最新作ですが、これだけでも読めます。ほっとする1冊。
(谷島屋 スタッフ)

●『白ゆき姫殺人事件』湊かなえ  集英社
ネットとか人のウワサとか報道とか、いろいろ考えさせられる1冊でした。
(谷島屋 スタッフ)

●『百年法 上・下』山田宗樹  角川書店
SF設定としてはそれほど珍しいものではないですが、百年後に死なないといけない法律というフレーズはキャッチ―で興味をそそりました。内容も、少子高齢化、雇用問題、家族のありかた、国と法、政治家とは、など現代社会における問題点を上手くとりいれておりそれでいて人間描写などもしっかり書かれており、読みやすい文体でした。百年法をめぐる結末もなっとくのしめ方で、よくできた近未来SFエンタメ小説です。                          (谷島屋呉服町本店 望月)

●『ケルベロスの肖像』海堂尊  宝島社
続き物でかつ他社刊行物でも同じ世界観での話を多数展開しているため、今更すすめる小説ではないかも知れませんが、バチスタシリーズ最終巻というのと「桜宮サーガ」大詰めということで今一度この作品というよりは海堂尊の「桜宮サーガ」に多くの人にふれてもらいたいという意味で薦めます。
(谷島屋呉服町本店 望月)

●『私のいない高校』青木淳悟  講談社
一人の留学生を受け入れた私立高校の一学期を描く、といった内容より、特定の主人公や語り手を置かずに視点をずらしていく手法がすごい。所謂三人称小説でもなく、主人公の内面や心理描写を排し、人の外で起きる出来事や情報だけで小説にしてしまう凄さ。といって実験的な手法だけが問題なのではなく、そこかよ、といった視点やことばの選び方も面白く、大したことは起こらない日常だけれども読後感はユーモラス。小説的でないという意味で「反」近代小説ながら、紛れもなく小説、文学の面白さがあります。                             (戸田書店裾野店 海福)

●『雲をつかむ話』多和田葉子  講談社
「人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろう」。何人もの犯人と、かつて犯罪を犯した者や、あのとき出会ったあの人が実は、といった出会いを「わたし」のなかで繰り返す。ことばというものが自分の中で繰り返されるたびに、ことばを費やせば費やすほど、ふわふわと雲のように捉えどころのないものになってゆく。わかりやすい「物語」はないが、ことばを扱う「小説」世界にどっぷり浸れます。
(戸田書店裾野店 海福)

●『わたしがいなかった街で』柴崎友香  新潮社
「わたしがいなかったあのときあのまちで生きている人がいた」。当たり前の話だが、世の中、人類の滅亡をかけて戦ったり、そこまでいかなくても「自分」の内面を描く小説や映画が多いのは、「自分」の価値が大きすぎるから。戦争ドキュメンタリーを見ることでそこで生き、死んでしまった人たちとの距離をはかり、行方不明の友人を思い出したりすることは「わたしが死んでも世界は続く」という、これまた当たり前ながらなかなか納得しがたい思想に繋がる、世界を肯定する小説です。
(戸田書店裾野店 海福)

●『謎解きはディナーのあとで 2』東川篤哉  小学館
テレビドラマを見ているような面白さ。ただのわがままなお嬢様ではない主人公と、執事なのにご主人様より頭がよくてえらい(?)、2人のやりとりがスカッとします。
(サガミヤ書店湯の花店 山下)

●『第三の時効』横山秀夫  集英社
何と言っても登場人物が魅力的です。個性的なF県警察強行犯係の面々が搦め手からカンまで持ち味を存分に発揮して事件を解決していく様は痛快です。また、キチンと裏付けのある展開、状況描写メインの硬質な文章の中で光る人間ドラマなど、「ミステリ」「警察小説」といった枠に収まらない、物語として非常に完成度の高い小説です。                  (戸田書店静岡本店 岡本)

●『屋根裏の散歩者』江戸川乱歩  光文社
ミステリものではありますが、読者には犯人も殺人方法もまったく隠されることはありません。むしろ物語は犯人視点で進められ、巧みな心理描写と情景描写によって読者の感情移入先は犯人へと誘導されていきます。犯人の異常な犯罪嗜好癖をナチュラルに受け入れられるようになっている自分に気付いたとき、この小説の面白さが分かるはずです。
(戸田書店静岡本店 岡本)

●『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ  集英社
正直に言って、読んでいてこれほど気恥ずかしくなる小説も珍しいです。登場人物の交錯を絶妙な距離感で著し、高校という狭い世界を自然に表現する手腕も見事ですが、何より17歳の何となく感じている思いや揺らぎをここまで言葉として表現できるのか!という驚きと当時の自分の心を浮き彫りにされたようなくすぐったさがとても気持ちの良い一冊です。
(戸田書店静岡本店 岡本)

●『パラレルワールド・ラブストーリー』東野圭吾  講談社
東野圭吾シリーズはすべて読んでいますが、これほど胸を熱くさせるストーリーは(ちょっと前まで秘密(東野圭吾)でしたが)ありません!津野麻由子が主人公:敦賀崇史の彼女になっている世界。津野麻由子が、崇史の親友:三輪智彦の彼女になっている世界。この2つの世界が同時に進行するストーリーの為、読み始めは「ん?なんだこりゃ?」といった感じですが、読み始めると止まらないこと間違いなし!敦賀の彼女(津野)への想い、三輪の津野への想い、そして、なによりも津野の敦賀への想い…。そして3人それぞれの仕事に対する情熱。彼女を残して海外勤務(仕事)を選ぶのか、日本に残り、憧れだった仕事を諦めて恋人を選ぶのか…。敦賀と三輪は中学からの親友。友情を取るのか、互いの友情を壊してまで恋愛を取るのか、読み進めるごとに胸が熱くなり、最後のシーンでは号泣すること間違いなしです!!ネタバレを避けるため、うまくまとめられず申し訳ありませんが、「間違いなく」素敵な小説です。最後のシーンで麻由子に「ある事」を確認するシーンがあるのですが、ここがストーリーのクライマックス!!だと思います(僕はですが…)。最後のこの一行…自分はこの一行に泣かされ、40分近く涙が止まりませんでした(笑)。夏目漱石の「こころ」も描写は異なりますが、「想い」という点では似ているものがあります。明治時代の人も同じような感じで「こころ」を読んでいたのかなぁ。。。
(谷島屋有東坂店 井出)

●『ぶたぶたカフェ』矢崎存美  光文社
見た目はぶたのぬいぐるみ、中身は中年男の山崎ぶたぶた。ぶたぶたさんの見た目と優しさに癒されて元気になる読者さんが急増中!                   (藤枝江崎書店 スタッフ)

●『風の海 迷宮の岸』小野不由美  新潮社
十二国記シリーズ第2弾。本シリーズでも人気の高いキャラクター「タイキ」の苦悩と決断の物語。完全版で全シリーズ読破したいシリーズです。             (藤枝江崎書店 スタッフ)

●『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』岡田麿里  メディアファクトリー
幼なじみが幽霊になって会いに来たら…?高校生になった幼なじみ達は、1人、大人になれなかった少女のために集まり願いを叶えようと奮闘する。願いは叶うのか?彼らの絆は…?
(藤枝江崎書店 スタッフ)

●『海賊とよばれた男 上・下』百田尚樹  講談社
手に取った瞬間、売りたいと思った。表紙が良い、帯が良い、哀愁漂う男の後ろ姿。男のロマンが感じられ、手に取りたくなる。内容もすばらしい。是非、映画orドラマ化を…。(藤枝江崎書店 スタッフ)

●『震える牛』相場英雄  小学館
地方にある書店だからこそのリアリティー。重いけれど深い内容。こちらも映像化に期待。
(藤枝江崎書店 スタッフ)

●『百年法 上・下』山田宗樹  角川書店
高齢化のすすむ現代だからの衝撃的な内容にビックリ。でもだからこそ思わずPOPを書きました。
(藤枝江崎書店 スタッフ)

●『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎  東京創元社
杉の魔人と戦う兵士の話や、鉄国という国と戦争があったことを猫から語られることで物語は始まります。始めはどういう物語なのだろうと話が掴みづらく、不思議の国に流れ着き猫の話を聞いている「男」と同じ気持ちになりますが、ラストはすべての「?」が繋がっていき、すごく感動します。すべて理解したうえでもう一度読み直すととても良い作品であるとわかります。
(谷島屋新流通店 スタッフ)

●『震える牛』相場英雄  小学館
ノンフィクションなのではないかと思わせるほどのリアリティにどきりとさせられます。本当に自分たちが食べているものは安全なのか?命よりも経済効率を重視する社会ほど恐ろしいものはなく、またそういう社会にしてはならないと読後に感じさせられました。
(サガミヤデュオ店 久保山)

●『空の拳』角田光代  日本経済新聞社
ボクサーの心情を丁寧に書き、それを主人公が取材しながら深く探っているという、ドラマチックではないがリアルな気持ちを感じとれました。               (島田書店外商部 佐塚)

●『銀色の月』小川恵  岩波書店
故小川国夫氏の奥様の作品。作品のすばらしさはもちろんですが、静岡書店大賞の第一回ならではで県内在住であったお二人が描かれている点をおしたい。
(谷島屋高松店 田邊)

●『霖雨』葉室麟  PHP研究所
まさに「止まない雨はない」。そして雨があがればきれいな虹も出、花も咲くのだと、いま苦しい時を生きている人々に、信念にそって生き、耐える勇気を与えてくれる作品だと思う。
(谷島屋高松店 田邊)

●『晴天の迷いクジラ』窪美澄  新潮社
人生の袋小路に入り込んでしまった3人。悲壮感が漂うのに、絶望感はなく、きっと何とかなるだろうと思わせ、先へ先へと読み進めたくなる作品です。
(谷島屋高松店 田邊)

●『しのぶセンセにサヨナラ』東野圭吾  講談社
ドラマ化してから1話見て、原作を読んでみたら、ドラマよりも原作の方がおもしろかったです。自分が大阪のおばちゃんになった気分で感情移入しながら読んでました。
(戸田書店静岡本店 朝比奈)

●『鍵のかかった部屋』貴志祐介  角川書店
ドラマ化してから話題になって、原作を読みました。鍵に関するミステリーなので、こんな鍵で密室殺人が起こるのか…と思いながら読みました。ストーリーも手がこんでいて、読んでいるうちにのめりこみました。                           (戸田書店静岡本店 朝比奈)

●『夏天の虹~みをつくし料理帖』高田郁  角川春樹事務所
シリーズ七作目にして初めて涙しました。料理人として生きる道を選んだ澪に更なる試練が。マンガでもドラマでも味わえない良さが小説にあります。
                                 (江崎書店袋井店 久野)
●『惑いの森』中村文則  イーストプレス
なぜか不思議で、しかしほのぼのさせるショートストーリー。     (江崎書店袋井店 吉田)

●『屍者の帝国』伊藤計劃/円城塔  河出書房新社
夭逝の作家伊藤計劃が生前書き遺した僅かな枚数の原稿とプロットを盟友円城塔が書き継いで出来あがったこの作品。文句なく今年のNo.1。カテゴリーとしてはSFですが、丁寧に読めば充分に万人が楽しめるのでは。私は焦って読み進めてしまって頭の整理が追いつかず、すぐに2回目(今度は精読)に取りかかりました。ただ、これで本当に伊藤計劃の作品は最後なんだなあと思うと少々辛いです。                      (戸田書店静岡本店 仕入部 藤浪)

●『二十五の瞳』樋口毅宏  文藝春秋
私にとっては、いま一番新作が待ち望まれる作家。新作発表の度に(ある種露悪的に)ネタ元詳らかにしていて、今作はもう「まんま」のタイトル。但し、樋口の場合は関心の対象が文学にとどまらないので追いかけるのも大変。            (戸田書店静岡本店 仕入部 藤浪)

●『ここは退屈迎えに来て』山内マリコ  幻冬舎
確かに瑞々しい感覚がそこかしこに散りばめられているけれども、もっと「こじらせた」方向へ成長してくれないかな。面白い存在になりそうなんだけど。
                           (戸田書店静岡本店 仕入部 藤浪)
●『きみはいい子』中脇初枝  ポプラ社
ある街の5つの家族を舞台に「児童虐待」という共通のテーマが横たわっている連作短編。子を持つ人、親のある人、あった人、全ての人に読んで欲しい一冊です。「いい子」であろうとした子供時代を思い返す人もいれば、つい言う事を聞かない子どもに手をあげてしまったことを思い出す人もいるだろうし、またある人は変わっていく親の姿を思う人もいることでしょう。手をあげる前に、何か理由があってそうしてしまう「きみ」のことを考えてあげてください。そして、抱きしめてあげてください。そうすることの大切さがこの本の中に詰まっています。
                              (BOOKアマノ入野店 山本)
●『旅屋おかえり』原田マハ  集英社
主人公は、唯一のレギュラー旅番組が打ち切りになったタレント「おかえり」こと丘えりか。ひょんなことから旅に出られない誰かの代わりに旅に出て、依頼を果たす「旅代理業=旅屋」を始めます。行く先々の風景の描写や人々の温かさに、日本にはたくさん素晴らしいところがあるんだなあと改めて思わせてくれ、「おかえり」が心から旅を楽しんでいる様に、読んでいる自分も旅したくなること間違いなしです。
                              (BOOKアマノ入野店 山本)
●『たとえば、すぐりとおれの恋』原田みずき  祥伝社
どんな辛いことでもお互いのことを知った上で恋人と一緒になれたら最高だと思うけれど、知られない方がいいと思って話せない気持ちもわかります。この壁を乗り越えるのが容易ではないからこそ、人に消えられる辛さだけでなく、ともに生きることの喜びを知った草介とすぐりの幸せを願いたくなる、そんな物語です。
                              (BOOKアマノ入野店 山本)

●『ディズニー サービスの神様が教えてくれたこと』鎌田洋  ソフトバンククリエイティブ
今の仕事について、ある程度経験を積んだ気でいたので、こういうジャンルの本は「見よう」という気はハッキリ言って全くなかったです。たまたま品出しの際に、本が開いてめくれたページのさし絵が目に入って(P40のおじいさんが落としてしまった小銭を大変そうに拾っている絵)どんなストーリーなんだろうと気になりました。内容は…仕事(サービス)に関してはもちろん、1人の人間として自分が忘れていた「思いやり、やさしさ」に気づかされました。ディズニーファンでもないのですが、すごく呼んでよかったと思えました。
                           (BOOKアマノ アクト北店 杉村)

●『オレの宇宙はまだまだ遠い』益田ミリ  講談社
ちょっと遅れていますが、最近、益田ミリ作品にハマっていた所に、主人公が「書店員・男・30過ぎ」のキャラクターのこの作品が発売になり、すぐに購入しました。全くではないですが、結構自分に似ている主人公に気持ちを重ねたり、書店をめぐって登場する色々な人たちの人生・心の中があたたかく、さりげなく描かれていて、とても素敵な作品です。
                           (BOOKアマノ アクト北店 杉村)

●『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』西沢泰生  アスコム
諸般で入荷してきたときには、なんとも思わず店に出していたのですが、二刷目から帯を変えてあって、そこに書いてあった、赤塚不二夫先生のエピソードと名言にしびれて、もっと読みたくなり購入しました。そのときあの人は「何と言ったでしょう?どう行動したでしょう?」というクイズ的な構成になっているので楽しみながら感動できました。
                           (BOOKアマノ アクト北店 杉村)
●『ノエル』道尾秀介  新潮社
Story seller で一部既読でしたが、それを皮切りに話が繋がっていき、一息で読んでしまった。温かいストーリーの中にもやはり「道尾秀介」というべき」サスペンス?ホラー?ほの暗いものにドキリとさせられながらもハッピーエンドへすとんと落とすバランスがとても良かった。
                              (BOOKアマノ入野店 杢屋)

●『いつか、君へGirls』三浦しおん他  集英社
表紙と作家買い。ほぼ同時期に4冊アンソロジーとして書きおろし文庫がでていますが、20代女子としてなのか、好きな作家が多かったのか、一番好きだと言える一冊です。関口尚のテコンドーの話、スポーツが分からなくても空気が伝わってくるようでした。
                              (BOOKアマノ入野店 杢屋)

●『今日のごちそう』橋本紡  講談社
食べ物の話をフィクションとしてならばやはり橋本紡だと思う。(個人的で申し訳ない)良い意味で読み終わった後にぽんっと放り出されるような余韻がとても好きなので、短くたくさん味わうことができました。                           (BOOKアマノ入野店 杢屋)

●『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤  講談社
池井戸さんの魅力を、とても安心して楽しめた。安定感がある。パターン、結末は以前の作品と変わらない。しかし、だからこそ今回の作品で言えば「野球」という+αを味わいつつ、いつも通りの精緻な中小企業の描写、その苦闘の様を改めて感心しながら読むことが出来る。しかし、彼の作品の最大の魅力は、こうした、それだけで読み応えのある客観性の中に一人ひとりの登場人物が本当に真に感じられること。目新しさはないかもしれないが、「池井戸」作品を「野球」という新鮮なエッセンスとともに楽しめる。
                              (BOOKアマノ入野店 藤田)

●『十字軍物語3』塩野七生  新潮社
①②ととても熱い西洋の男たちの生き様を見せ付けられてきた。が、そこまでの十字軍の快進撃が夢だったようにしぼんでゆく。タンクレディ、ボードワンなど十字軍の熱っぽさにあてられていてこそ、この完結編ではそのむなしさが見事に表現されていた。3部作ともに重厚だが是非読んでみてほしい。
                              (BOOKアマノ入野店 藤田)

●『PK』伊坂幸太郎  講談社
良くも悪くも「伊坂作品」らしいと思う。いずれの中編も奥が深いような、底の見えないような雰囲気を漂わせる。が、個人的には「漂わせるだけ」で実は何も用意していないんじゃないか、という伊坂作品らしい(まさに良し悪しだが)軽さというか、適当さが読んでいて力を抜いて楽しめる。作者の歴史観など、深いものの見方を感じつつも、気楽に読むことを楽しめる小説として薦めたい。
                              (BOOKアマノ入野店 藤田)

●『屍者の帝国』伊藤計劃/円城塔  河出書房新社
2009年に亡くなった伊東計劃の遺稿30枚分の小説を友人であり芥川賞作家である円城塔が完成させた作品。死者がよみがえる作中の世界は、亡くなった著者の作品を他者が完成させたという現実と重なり、考えさせられる。
                                (江崎書店袋井店 豊島)

●『道化師の蝶』円城塔  講談社
芥川賞受賞作。現代文学の最前線というか、選考委員にもよく分からん というある意味問題作。つきぬけ過ぎて理解に苦しむが、深く考えなければおもしろい。が、深く考えないことが難しいというやっぱり問題作。
                                (江崎書店袋井店 豊島)

●『カフカ式練習帳』保坂和志  文藝春秋
これは・・・小説なのか?小説について考え続けた著者が考えあぐねてとんでしまったような、そんな作品。書いてあることが普通な事ばかりなぶんタチが悪い。読み手の方が「小説とは何か?」を問われるような作品です。
                                (江崎書店袋井店 豊島)

●『星に願いを、月に祈りを』中村航  小学館
元「男の子」の僕からしたら、彼らを追うのにニヤニヤが止められないでいた。でも、一章から二章へ、二章から三章へと彼らが大人になっていく、いや、なろうとしているのを見るにつれ、それは「見守り」から「共感」に変わっていった。そして四章、ちょっとこれ以外の言葉が思い浮かびませんでした。「美しい」。                             (戸田書店掛川西郷店 吉田)

●『空飛ぶ広報室』有川浩  幻冬舎
何気ない場面の一つ一つを、彼らの境遇心境を思うと目頭が熱くなってしまう。それは、決して主人公だけじゃなく他のキャラクター達にも当てはまる。つまり、思い入れを変えて読めば登場人物の数だけ物語を楽しめる。この武器を持たない自衛官たちの戦い様は見ているものを熱くさせる。そして気づく。武器は持っていたんだと。
                                (戸田書店掛川西郷店 吉田)

●『恋より或いは美しいもの』沢木まひろ  メディアファクトリー
色々なことに「キッカケ」というものがある。それは、諦めるキッカケだったり、頑張るキッカケだったりする。それは案外気が付かないでいるもので、大切なものをなくしてしまったりもする。その「キッカケ」を再び手にした3人の大切なものを得ようとする関係性がとても好きです。
                                (戸田書店掛川西郷店 吉田)

●『スウィート・ヒアアフター』よしもとばなな  幻冬舎
悲しみや苦しみで身動きが取れなくなっている人が、これを読んで、「やっと少しのあいだ息ができた」、そういうことはありうると思う。そういう人が身近にいる人にとっても、なにか手がかりになることがあるかもしれない、とも思う。
                                (戸田書店静岡本店 田中)

●『恋する原発』高橋源一郎  講談社
あの異常な、ひりひりした、切迫した数週間を、文学のひとはうまく残してほしいと思う。『「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について』や『非常時のことば』とあわせて読まれるとよいと思う。
                                (戸田書店静岡本店 田中)

●『短編五芒星』舞城王太郎  講談社
気味の悪い小説群(良い意味で)。読むと、え、なにこれよくわかんない、気持ち悪い、となると思う(良い意味で)。とくに「アユの嫁」。よくわからない(恐ろしい)ものに対する田舎の大人の現実的なふるまいにリアリティを感じてぞくっとした。
                                (戸田書店静岡本店 田中)

●『清洲会議』三谷幸喜  幻冬舎
三谷ファン歴史ファンどちらも楽しめる一冊です。         (谷島屋 松岡店 志田)

●『うつけの采配』中路啓太  中央公論新社
一般的に評価の著しくない本書の主人公吉川広家だが、関ケ原合戦での彼の行動を肯定的に描く本作。小学校の卒業文集に毛利一族についての考察(笑)を書き、且つ、歴史上の悪役や低評価の人物になぜか心惹かれる私にとってとても興味深く一位にあげました。
                                (戸田書店 函南店 内田)

●『帝の毒薬』永瀬隼介  朝日新聞出版
これまた私が幼少のころから興味を抱く「帝銀事件」をモチーフにした小説。松本清張の描いたルポ風なタッチを期待すると荒唐無稽なストーリー展開だが、忘れ去られようとする帝銀事件を今更ながら扱ってくれた(というか、まだ潜在的需要が多くある?)ので二位にあげました。
                                (戸田書店 函南店 内田)

●『ルパン、最後の恋』モーリス・ルブラン  早川書房
ルブランのルパンシリーズ70年ぶりの新作。そこには子供の頃読んだあのアルセーヌルパンの面影があって感激だが、大人の鑑賞にはちと・・・。ともあれ、読まずにはいられない。売り場に展開せずにはいられないという書店員は結構いると思う。話題になってもならなくても函南店の話題書コーナーにはしばらく置き続ける所存。
                                (戸田書店 函南店 内田)

●『真夜中のパン屋さん』大沼紀子  ポプラ社
まず、表紙のイラストが可愛くて惹かれました。今時の若者でもスラスラ読める内容でとても面白かったです。
                              (江崎書店沼津アントレ店 大石)

●『フリーター、家を買う。』有川浩  幻冬舎
今の社会にあるようなテーマを題材にしているので、のめり込みやすくついつい感情移入してしまう本でした。面白かったです。
                              (江崎書店沼津アントレ店 大石)

●『爆撃 聖徳太子』町井登志男  PHP
歴史に存在したと言われる聖徳太子とは少し違って、でも史実には背かないで話が進められていく。大変面白く読めました。
                              (江崎書店沼津アントレ店 大石)

●『ツナグ』辻村深月  新潮社
オムニバスで5つくらいの話にわかれています。すべて涙なしには読めない作品です。特に母親と息子の話は涙が止まりませんでした。
                                     (江崎書店 室伏)

●『百年法』山田宗樹  角川書店
不老技術を導入するにあたっては、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという生存制限法(100年法)を成立、施行させることが前提となっている。不老技術は現在はないが、そのことを除けば現在の日本が抱えている問題を描いているのではと思われる話でした。
                                     (江崎書店 室伏)

●『あたたかい水の出るところ』木地雅映子  光文社
自我を守るために、お調子者のフリをし、家庭の中で自分を守っている主人公。彼女が張りつめた精神を唯一ほどくことが出来る場所が温泉(銭湯)だった。ひとは見えないところで傷つきながらはっきりと救われることがある。幻想と現実をつなげて未来へと生きられる。
                                (戸田書店掛川西郷店 杉本)

●『ぼくらは都市を愛していた』神林長平  朝日新聞出版
デジタルデータという現代を象徴する情報を失ったとき、人類は互いを信頼する術を失う。他人と意識を共有するとき、人間は自分と他者を区別する術を失う。章ごとに交互に語られる物語が重なり、情報と意識を証明するものが何もないことに、わたしたちは気づかされる。
                                (戸田書店掛川西郷店 杉本)

●『気分上々』森絵都  角川書店
ほんの些細な出来事で人生は変化するものかもしれない。そんなドキドキを感じさせてくれる短編集です。みんないろんな壁を抱えているけれど、人とのかかわりの中で小さな奇跡が起こります。傷つかないように予防線をはってばかりいたらもったいない!勇気を持って飛び込んでみなくちゃ気分上々にはなれません。元気になれる一冊です。
                                (戸田書店掛川西郷店 後藤)

●『最果てアーケード』小川洋子  講談社
おとぎ話に迷い込んだような気分になれる一冊です。心の柔らかな部分にそっと寄り添ってくれるアーケードの店主たち。そこだけが世界の窪みのようで、悲しさや切なさを抱えた人々に安らぎを与えてくれます。自分も最果てアーケードの住人になって、言葉にはならない心の深いところにある大切なものを見守っているような気持ちになりました。切ないけれど心が温まる、そんな物語です。
                                (戸田書店掛川西郷店 後藤)

●『降霊会の夜』浅田次郎  朝日新聞出版
降霊会・・・というのだから、少し現実とは離れたお話かと思いきや、主人公が意識の奥底で罪悪感を抱いていた相手とのエピソードは、それぞれ深みのあるお話でした。時代や幼さ、若さゆえに気付かないふり、わからないふりをしてきたことは、誰にでもあるものだと思います。誰かの苦しそうな表情や切なく恋する気持ちにちゃんと向き合っていたのなら、相手の人生も自分の人生も少し違っていたのかもしれません。主人公が霊と正直な気持ちを取り交わし、相手の気持ちを受け止めることで心の重荷を降ろしていく様は私自身も少し許されたような、救われたような気持ちになれました。
                                (戸田書店掛川西郷店 後藤)

●『楽園のカンヴァス』原田マハ  新潮社
ルソーの絵はそんなに好きではないけれど、「絵画鑑賞ミステリー」という一文に興味をひかれて購入しました。その日のうちに一気に読みました。美術館の展覧会の裏側も面白かったですが、何よりルソーとピカソという天才画家がとても魅力的に書かれていて、身近に感じることが出来たのが嬉しかったです。美術館に行って、好きな絵をずっと眺めていたくなりました。
                                 (戸田書店函南店  内田典)

●『桜大の不思議の森』香月日輪  徳間書店
お客様から「香月さんの作品は面白いよ」と薦められたので興味を持ちました。シリーズものはちょっと手が出しにくかったので、一冊完結の本書を選びました。とても面白かったです。登場人物が魅力的。当たり前のように繰り返す日常の中の幸せとそこでおこる不思議な出来事を13歳の少年の目を通して書かれています。作者の地元で起きた実話をもとにしているのでリアリティがあり、一つ一つのエピソードにじーんとします。
                                 (戸田書店函南店  内田典)

●『ふくわらい』西加奈子  朝日新聞出版
「さくら」が好きだったので、帯の「著者はついにこの境地まで達した」の一文にひかれて購入しました。思わず眉をひそめるような部分もあり、とても私には受け入れたり理解したりできないけど、西さんの人と世界への愛情は強く感じました。笑える部分もありました。もっと世界を知りたいと思います。
                                 (戸田書店函南店  内田典)

●『火山のふもとで』松家仁之  新潮社
本文から言葉を借りるなら、「この小説にはゴッドがいる。こんなに精緻で合理的で、しかも美しいかたちの小説は、神でもいなければとてもつくりだせるはずがない。」と思った。村上春樹の信頼も厚い、雑誌「考える人」の元編集長:松家仁之の信じられない完成度の美しいデビュー作です。
                                  (谷島屋浜松本店 野尻)

●『64』横山秀夫  文藝春秋
読後、「めちゃくちゃおもしろい!」と叫びたくなる衝動に駆られた。指先の黒ずみ、無言電話・・・。全てがこんなにもタイトに絡み合い、重厚に織りなす物語は久しぶりだった。さすが我らが横山秀夫7年ぶりの新刊だ。文句なしの大傑作。
                                  (谷島屋浜松本店 野尻)

●『晴天の迷いクジラ』窪美澄  新潮社
何が起こっても、地べたに這いつくばってでも生き抜いてやる。そう思わせる徹底的に「生きる」にこだわった作品。あなたがそこに居るだけでいい・・・。こんな時代だからこそ絶対に必要な大切な本です。
                                  (谷島屋浜松本店 野尻)

●『犬とハモニカ』江国香織  新潮社
びっくりするような展開はなく、スピード感もない文章で何度も読まないと、理解できないです。それでも、すごい、大好きと思います。繰り返し読んでも、毎回、じんわり感動します。
                                  (谷島屋浜松本店 合谷)

●『上海、かたつむりの家』六六  プレジデント社
海外ドラマをみているような、おもしろさです。地方出身の若い夫婦が、上海に家を買うって大変。家族も巻き込んですごいことになります。
                                  (谷島屋浜松本店 合谷)

●『アスクレピオスの愛人』林真理子  新潮社
それぞれの医者が、医者になるまでのいろいろな経緯があって、医者になってからも、実はいろいろな道があるんだなぁと知りました。得体の知れない女ドクターのエネルギーが凄すぎます。
                                  (谷島屋浜松本店 合谷)

●『てのひらの記憶』水生大海  PHP研究所
他人の物に触れると、その物の持ち主だった人のことがわかってしまう主人公。物に込められた思いに、ドキドキしたり、グッときたり、楽しい作品です。
                                (吉見書店外商部 山崎)

●『ノエル』道尾秀介  新潮社
それぞれの物語が繋がり合い、奏でる、道夫ワールド!
                                (三原屋書店アピタ店 木下)

●『身を捨ててこそ』白川道  幻冬舎
親子ほど歳の離れたギャンブラー、魅かれあう男同士の信頼関係が素敵!
                                 (谷島屋浜松本店 鈴木)

●『続・森崎書店の日々』八木沢里志  小学館
何気ない書店の日常、うなずける場面が多々ある。その暮らしの中で病のため大切な人を失う哀しみ。身につまされる。
                                 (谷島屋浜松本店 鈴木)

●『寒灯』西村賢太  新潮社
現代社会の若者をリアルに表現、文全体に乾いた感覚が残る。「苦役列車」から読んでもらいたい。
                                  (谷島屋本店 阿部)

●『共喰い』田中慎弥  集英社
一般的に女性の読者はどう感じるのかという問題提起もあるかもしれないけど、作家の死生観というのに着眼して読んで欲しい。
                                  (谷島屋本店 阿部)

●『夏のバスプール』畑野智美  集英社
リアルな高校生活の中で、大人になる瞬間が必ず誰にもあるのだとしたら、この本に出てくる彼も彼女もまさに今がその時なのだ。主人公の彼は悩む、部活に恋に友達に。16歳の少年が劇的に物事を解決なんて出来ない。だから叫ぶ「彼女が好きだ」って。苦さも痛さも恋の優しさも全部ひっくるめて青春を感じさせてくれます。
                                 (谷島屋浜松本店 丸林)

●『少女は卒業しない』朝井リョウ  集英社
7つの物語で構成され全編女子高生が主人公。それぞれがステキに恋そして夢を持ち、そして後悔もして悩みながら成長していく。こんなにもみずみずしく生き生きと描かれる彼女たちの息吹に自分の高校生の記憶が混ざり合い言葉では言い表せない。あのころの気持ちを思い起こさせてくれます。
                                 (谷島屋浜松本店 丸林)

●『星に願いを、月に祈りを』中村航  小学館
誰かのために祈りたくなる。優しい気持ちにさせてくれる小説を見つけました。流れ星に願い事をしたことはありますか?誰かの幸せを祈ったことはありますか?読後、私は夜空を見上げました。あなたも夜空を見上げたくなるかもしれません。その時は、あなたの大切な人のために祈ってみてください。どうか君の夜空にやさしい星が流れますようにと。
                                 (谷島屋浜松本店 丸林)

●『楽園のカンヴァス』原田マハ  新潮社
アンリ・ルソーの「夢」をめぐり織りなす二人の研究者と同時に進むルソーの物語に引き込まれる。著者はキュレーターをしていたこともあり美術界にも詳しく絵画を眺めているようだ。
                            (谷島屋サンストリート浜北店 川島)

●『百年法』山田宗樹  角川書店
不老不死を手に入れた人間はどこに向かうのか?政治、政界から国民に対していかにあるべきかを投げかける作品だ。
                            (谷島屋サンストリート浜北店 川島)

●『サラの柔らかな香車』橋本長道  集英社
第三者の目を通して語られる外国人の将棋の天才少女の物語。著者自身が将棋界にいたこともあり、天才とは、才能って何と問う。
                            (谷島屋サンストリート浜北店 川島)

●『ツナグ』辻村深月  新潮社
もし、「使者」がいたらきっと誰もが誰と会おうか考えると思うが、果たしてそれが良いのか悪いのか、かなえられたとして満足できるのか、私には答えが出ません。ただ、生者の気持ち死者の気持ちを思うととにかく後悔しないように日々を大切に丁寧にと思わせてくれる本なので、是非読んでみて下さい。
                                 (未来屋書店蒲原店 野村)




Posted by 静岡書店大賞SST at 20:31